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Q & A  1
Q & A  2
加藤郁之進氏講演


坂村健


東京大学教授
坂村 健



どこでもコンピュータへの道

司会:
  もうひと方。

質問:
  非常に興味深くお聞きしました。ちょっと素人考えとしてですね、そういうものに一つ一つチップタグですか、つけたらもう膨大な数になると思いますが、そういうのはみな消耗品として全部捨てられてしまうのでしょうか。もう一つ、読み取りする機械ですね、それはたとえば個人個人が持つようになるとするとかなり高額だと、どうなのかなと思って、値段とかその辺をちょっとお聞きしたいと思いました。

坂村:
  チップは再利用できます。これはやっぱり運用上の問題だと思いますが、このチップ自身は電子的なものでして、日本でこれができたのは非常にすばらしいことだと思うんですが、既存の超LSIメモリの技術を使って生産しているんです。

  材料は、直径0.4ミリまで小さくなったシリコンです。シリコンと金属がちょっと入っています。ものすごい大量生産をする技術を持っているのは今日本だけですが、今やっている装置でもってですね大量に、ものすごく一気にたくさん作る技術がありまして、作れてしまいます。これは、産業廃棄物としてどうなんだと、これを捨てたらどういうことになるんだって話があります。考え方がいろいろありまして、実は直径0.4ミリのシリコンっていうのは、1万個を集めたとしてもパソコン一個廃棄するより、廃棄物としては少ないと言われています。

  あまりに小さいので、パソコン一個を廃棄するほうがはるかに環境に与える影響が強いです。それはもう当然重金属とか、たくさんいろいろなふたを開けてみるとわかりますけど、大変たくさんあってですね、やっぱりそれとチップ何万個ですから、そこはちょっとどう考えるかです。

  それが一つ。ただ、どんなものでもそうですけど、産業廃棄物になることだけは事実です。ただ、直径0.4ミリのシリコンです。シリコンそのものは砂です。それから再利用もできます。ですから運用上の問題でいろいろと極限まで使っていくことができますし、逆にもっと環境に害を与えるようなものに廃棄するまであのチップをつけて、再利用できるものに関してはピックアップするなんていうようなテクノロジーもできますから、これはちょっと考え方なんです。

  トータルでものを考えないと、あのチップだけがどうなるんだというふうに考えないほうがいいと思います。それが一つです。

  それから二番目にですね、この装置の価格ですが、今の携帯にみんなカメラが入り始めましたよね。それと同じように10年くらいたつと、全部こういう携帯電話の中にこういうものを読むリーダーライターが入るんじゃないかなと思うと、コスト的にはそれほど一般ユーザの方にとっては携帯電話を買うのと同じくらいの負担になるんじゃないかな、というふうに思っています。またそうじゃないと産業的にも、新たにたくさんの投資っていうと一般の人にとってはなかなかきつくなります。

  ただ、先ほども言いましたように、いろいろなものについて、そのものについての情報がわかるとなると非常に便利なので、今のパソコンよりは、あまり専門としない人に喜ばれるんじゃないかと思います。キーボードも何も打つ必要がなくて、ものに近づけるだけで、ものが語ってくる道具ですから、そういう意味で行くと使い勝手はパソコンよりははるかにいいんじゃないかと私は思っていますけど、そこはちょっと人によって違ってくると思います。


司会:
  ありがとうございました。まだまだお伺いしたい。私も実はいくつかあるんですけれども、ちょっと時間が予定を過ぎてしまっていて、これで坂村先生のお話を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

坂村:
  どうもありがとうございます。



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