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コンピュータが小さくなっていったときに、どういうことになるかというと、今はテレビとか、携帯電話の中にもコンピュータが入っているんですね。けれども、ここまで小さくなってしまうともっと他にも入るだろうということで、たとえば私が今日持ってきたこの薬のビンは、このビンの中に、今言ったコンピュータが入っているんです。 今まで入らなかったようなものにまでコンピュータが入り始めました。薬のビンに入ったり、ワインのボトルにつけるとか、本につけるということもできます。ウィスキーとか、最近ですと、農作物の大根とか、洋服とかですね、いろいろなモノにコンピュータを入れるということで非常に注目されているのが、先ほど垂井先生からご紹介があったユビキタス・コンピューティング、どこでもコンピュータというアイディアです。これはどういう技術なのかというお話をしようと思っているのですが、このぐらいコンピュータが小さくなってきますと、まず、どうやってここに電源を供給するのかということで、非常に疑問に思うと思うんですね。 どうやって動かすかという話を始めるととても45分じゃ終わらなくて、非常に長い時間かかっちゃうんですが、その中で少しお見せしておくといいと思うのが、今注目されているRFIDという技術なんです。このRFIDっていうのはですね、(Radio frequency identification:レディオ・フリークエンシー・アイデンティフィケーション)の略ですが、簡単に言いますと、電波を使って認識するというような一般技術です。 この技術もコンピュータそのものとはまた違う技術で、無線通信のほうからきた技術です。先ほどコンピュータの歴史が50年ほど前にルーツがあると言いましたが、RFIDも1940年代にさかのぼります。私の思うに、現在非常に注目されているITとか電子技術のほとんどのルーツが、1940年代辺りにさかのぼることができるのではないかというふうに思います。 実はこのときに、これも軍事技術だったのですが、IFFという技術がありまして、ドイツ軍がフランスまで占領しまして、対岸にイギリスに爆撃機を飛ばし始めました。当然ですが、連合国もそのとき飛行機がたくさんあって応戦しましたので、敵味方の飛行機が入り乱れて上空を飛んでいたわけです。そのときに、レーダー技術というものがすでに完成されていたので、飛行機が飛んでくるということはわかるのですけれども、それが敵か見方かわからないために、特別な装置を飛行機に積んで電波を出して、味方だった場合にはレーダーに呼応して特別な応答を自動的に返してくる装置というようなものを作れないか、ということが軍事研究所で始まったわけです。それがルーツですけれど、非常にシステムが大きくて、こんな米粒みたいなコンピュータなんてものじゃなかったのです。 そこあたりからですね、電波を返すと何か応答が返ってくるということで、モノを認識できないかという研究が始まります。ただここから先が結構長くて実用化ができてきたのが、いろんな難しいことを抜きまして、1970年代になってやっとこういう技術にめどが見えてきます。 |