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世界に羽ばたけ日本のバイオ |
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[図15]
次に、遺伝子治療です。遺伝子治療といいますと、何か遺伝子をいじくりまわすのではないかと誤解されている方もいらっしゃいますが、そうではありません。まず、遺伝子治療を実施するのは、病院でいえば、小児科なのです。なぜ小児科かといいますと、生まれてきた赤ちゃんの遺伝子が、先天的にだめという場合は、放っておけば亡くなられますので、正しい遺伝子を追加してあげるのです。これが遺伝子治療と申しまして、決して遺伝子を切ったり入れたり、そういうことは全くしないのです。
ですから、注射1本で終わるわけです。体内遺伝子治療というのがございますが、これも遺伝子そのものを筋肉に打って、それで治すというものです。体内遺伝子治療はは一過性ですが、レトロウイルスを用いた体外遺伝子治療は治療用遺伝子を染色体に組み込みますので、一生持続します。
[図16]
タカラバイオが世界で有名になったのは、このレトロウイルスを用いた体外遺伝子治療法の基本である、従来は細胞に遺伝子が入らなかったものを入れることができる技術を発明したからです。
[図17]
この技術はレトロネクチン法というのですが、この方法を説明します。レトロウイルスベクターを用いますが、なぜ使うかといいうと、治療用遺伝子を染色体の中に組み込むためにはこの方法しかありません。レトロウイルスベクターを用いて、治療用遺伝子を細胞に導入すると、治療用遺伝子が機能して病気を治すということです。
[図18]
治療用遺伝子をどの細胞に入れるかというと、造血幹細胞という血液細胞の親分に導入します。造血幹細胞が日夜いわゆる免疫を守るTリンパ球とか、Bリンパ球とか、それからマクロファージとか、こういうものをどんどんつくっています。ですから、この造血幹細胞に正しい遺伝子を入れれば、当然患者さんのリンパ球は、その正しい遺伝子を発現するようになります。
[図19]、[図20]、[図21]
我々が発明したのは、レトロネクチン法といい、これに用いる組換え体のレトロネクチンは藤田保健衛生大学の千谷晃一先生と始めた仕事です。人間のフィブロネクチンという糖タンパク質がございまして、この一部を大腸菌に発現させたものなのですが、このレトロネクチン(CH296)という三つのドメインをもつものが非常におもしろいことをすることがわかりました。つまり、レトロネクチンをコートしておくと、遺伝子が高効率に造血幹細胞に入るようになりました。この発明により、遺伝子治療が一挙に世界中で行われるようになりました。
[図22]
レトロネクチンを使った場合と使わない場合で遺伝子の導入率が全然違いまして、レトロネクチンを使用しないと治療レベルまで遺伝子が細胞に入らない。例えばある遺伝子が機能しないという赤ちゃんがおられましたら、レトロネクチンをコートしたプレートやバッグ上で、その正しい遺伝子を患者さんから採取した造血幹細胞の中にレトロウイルスベクターを使って入れます。次に正しい遺伝子が入った細胞を患者さんに戻します。
[図23]
遺伝子治療は、世界中で行われておりますが、一番精力的に行ったのがフランス、イギリス、アメリカ、です。残念ながら、日本の技術を一生懸命利用してくれるのは欧米で、日本ではこの癌研究会が乳がんで2例やられています。私ども自身が自前で遺伝子治療の治験をやろうとしています。
崎山先生は、過去にはレトロネクチンを用いられませんでしたが、現在、レトロネクチンを用いた遺伝子治療を行われています。
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[図15]
[図16]
[図17]
[図18]
[図19]
[図20]
[図21]
[図22]
[図23]
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