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シミュレーションを通してみる未来の世界 |
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オーロラ、台風の雨のシミュレーション
[図46] そのひとつの例、オーロラをご紹介します。
[図47] オーロラというのは太陽からものすごい風が吹いてくるわけです。
風が吹いたら桶屋が儲かるではなくて、オーロラが儲かるわけです。
太陽風が吹いてくると、それが地球の磁場のところでこういう大きな磁気圏対流を起こして、これが発電をして、バッテリーになって、
ここからディスチャージ(放電)をする。このときに電子が磁力線に沿って落ちてくるわけですが、あるところで、非常にミクロな不安定性を起こすわけです。
ある閾値を越えるとミクロな不安定性を起こして、粒子、オーロラ電子をぐーんと10キロエレクトロンボルトくらいに加速をして、それが大気にぶつかる。
酸素や窒素にぶつかる。そしてそこで電離をし、励起をする。それが光になる。
[図48] だから、全体を解く各グリッド点でモニターをしていて、この辺がそのミクロな電子の不安定性を起こしそうなら、
そういう場所だけをピックアップして、そしてそれをミクロなシミュレーターに与える。このプロセスを繰り返した結果、オーロラの乱舞があらわれる。
簡単にやった割にはうまくいった。
[図49] この色が違うのは加速された電子のエネルギーによって違う。どのあたりにどの高さでどの分子とぶつかったかによって違う。
そういうこともやってる。いかにも見てきたかのごときバーチャルリアリティです。
ほとんどここには我々のパラメタリゼーションというか、仮定が入っておりません。
ちゃんと物理法則に全部従って粒子の運動も、全体的な風の運動も解いています。
これを人工衛星からみてやったらどうなるかと、それが、この映像です。
この辺にも、あの辺にも光ったりと、そういう風な形でオーロラの動きというものがかなりリアルな形で、非常に大きなスケールから小さなスケールまで出てくる。
[図50] 次は、もう一つの例ですが、今度は全地球の対流を海と空結合して、台風が出てくる。台風が出てくると、あるところに台風の低気圧ができるわけですね。
そこをピックアップして、その海上から蒸発してくる水蒸気が上昇気流に乗ってどういうふうに動いて、どういう凝結を起こして、
雨粒になってくるかということをシミュレーションした結果を最後にお見せします。
これが全球シミュレートしたときの台風の動きで、この低気圧のところをピックアップします。ミクロン程度の水蒸気がどんどんとこれが大きくなっている。
[図51] 水蒸気があって、そして大きな対流がある。
ひとつひとつの粒子を解いているのですが、それがある程度の大きさになると雲になるという形で、雲で表現しています。
その中で雨になって落ちる粒子をこのつぶつぶの大きな粒子で表現しています。
こういう形で雨がどのへんから落ちてくるかといったようなことまで分かりますので、どのへんに大雨が降るかということも分かる。
これは高さ方向と横軸に粒子の大きさを示しています。左端が10のマイナス7乗くらいです。
粒子の凝結が起こって、融合が起こって、1ミリメートルぐらいになると雨になって落ちてくるといったようなことが分かってきたということです。
足し算とかけ算ほどの差
[図52] これは地球シミュレーターを使って模擬的にやった連結階層のシミュレーション例です。
[図53] これまでのアメリカ方式は足し算で能力を稼ごうとしているが、それに対して我々は掛け算で稼ごうとしている。
二つの大規模なコンピューターを持ってきて、それでお互いが違う物理を解いて、掛け合わせた掛け算の連結階層型のコンピューターができる。
コンピューターの性能が足し算から掛け算になることで膨大な性能アップになることで未来というものがかなり正確に読むことができるようになるだろうと思います。
或いは新しい産業製品を正確に提案できる、より良い、新しい製品というものが提案できるであろうということで、私たちの生活環境が大きく変化します。
これを私はシミュレーション文化と呼んでいます。これで私の話を終わります。どうもありがとうございました。
<唐津治夢 財団理事>
佐藤先生、どうもありがとうございました。
それではこれから総合討論という形にしたいと思いますが、ちょっとステージの上セッティングを変えますので、お待ちください。
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[図46]
[図47]
[図48]
[図49]
[図50]
[図51]
[図52]
[図53]
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