|
|
|
|
廣川信隆氏の紹介
司会 武田計測先端知財団常任理事
DNAチップ研究所社長
松原 謙一 |
|
|
廣川信隆氏の紹介 |
|
|
|
|
松原でございます。廣川信隆先生をご紹介いたします。廣川先生は、1946年生まれで、東京大学医学部をご卒業後、米国ワシントン大学医学部の助教授、准教授を経て、1978年より東京大学医学部教授となり、現在は医学部長をなさっています。廣川先生のお仕事は、この分野では非常に有名でございまして、それは何かというと、形を見る、動きを見る、それを色々な方法で見るということでございます。細菌のような小さな細胞の中では、いろいろなモノが自然に拡散して、お互いに何となくぶつかって反応が起こるのですが、大きな細胞の中になると、ある種の構造が無いとモノが運べない。そこで、どういう具合に運べるかということで、キネシンというものを発見されました。これは、三十数種類あります。それが、極端な場合、例えば神経の細胞などですと、我々の腰の辺りから足の先まで伸びているような非常に長いものですが、その一つの細胞の中を、スーッと、まるでモノレールの上を動いていくようにモノを運んでいくしくみ、それが生命に非常に大事なのだということを見つけられました。非常に大事な分野でありますが、今日のバーチャルというテーマの中で、なぜ廣川先生がこういうお話をなさるかということを、1分ほど、廣川先生にご容赦願ってお話したいと思います。
バイオに関しましては、皆さんもご存知のように、非常に大量の情報が蓄積してきて、それが早速薬づくりとか、個人の医療なんかに使えそうだと言われています。では、直ぐにもバイオの情報時代に入るのだろうかということですけれども、それが即使えるという状態なのかどうかということに関して、廣川先生は、非常に着実なアプローチをしておられるわけです。4、5年くらい前だろうと思いますが、NHKが「驚異の小宇宙 人体」というシリーズ物を非常に見事なコンピュータ・グラフィックスで作りまして、細胞の中でどういう反応が起こるかというようなことを連続して見せたことがありました。皆さんにも大きな感銘を与えたと思うのですけれども、私は、その頃のことを振り返ってみると、「あの頃はまだよく分かっていなかったんだなぁ」とつくづく思います。ある分子がやってきて、他の分子と反応しようとすると、何か光のようなものがぱーっと出て、こっちにくっ付くというようなグラフィックスがあったり、核が紫に描かれていたり、ミトコンドリアが緑に描かれていたりして、「細胞の中はこんなに美しいのかと思った」というようなご意見を仰る方もあって、ちょっと間違ったイメージを与えてしまったという部分もありました。結局、それは、たくさんの情報がモノに関して集まってきた時代で、その時代は今も続いていると思います。
モノがどういうふうに動くのか。そして、それがどのように相互作用するのか。このあたりからが、本当に、細胞の中のことや生命のことがよく分かってくる時代で、そういう最先端のところを、今日は廣川先生からお話が伺えると、そういうつもりでおります。それが、見て面白いだけではなくて、私どもの生きるということの根本のところにも大きく係わっている。例えば、我々の体の左右を決めるものは何かということ、非常に小さい髭のようなものが、受精卵の初期にチッチッチッと動くだけで、液体が左側に流れる。そうすると、体の左右の非対称ができる。そういう非常に大事なところに係わってくるお話です。この動くモノを、一分子のレベルで総合的に見るということに到達された廣川先生のお話を伺いたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。
|
|
|
|
|
|
|