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総合討論


佐藤哲也


地球シミュレータセンター長
佐藤 哲也



シミュレーションを通してみる未来の世界 BACK NEXT

  産業製品を見てみても、製品全体にユニフォームに情報が詰まっているのではなく、例えば、自動車ですと燃焼という、 分子が化学反応を起こすプロセスがあって、それが今度は流体となって燃焼流体として出てきいき、それが機械のピストンを動かして車を動かすとか、 それが機械的な変化になるわけです。違ったスケールがいくつか組み合わさっている。その事実を使えばいいじゃないかというわけです。

[図39] 例えばタンパク質というのはナノメートルぐらいのオーダーで、そして、個体までの間に色々臓器とかがあります。 タンパク質の情報は、10のマイナス9乗メートルくらいを中心にして、だいたい10の4乗、1万倍くらいのスケール幅のところにだいたい納まっている。 細胞もおそらくミクロンを中心にして10の3乗とか4乗ぐらいのスケールにおそらくエネルギー・情報は入っているだろう。 [図40] そういうことを考えますと、どうすればいいかというと、システムがあって、このスケール、時間スケールであっても空間スケールであってもいいのですが、 それを模式的に描きますと階層1、階層2・・・となる。例えば、粒子的な階層、分子的な階層、或いはこれは細胞的な、或いは流体的な、機械的な階層がある。 そうしますと、この階層1というのはおそらく10の4乗くらい、或いは3〜5乗くらいあるかもしれませんが、そのスケール幅の中に情報はつまっているであろう。 この階層2に関しても10の4乗位のスケール幅の中に情報〔エネルギー〕は詰まっているであろう。階層間には情報はほとんど詰まっていない。

[図41] ところで、地球シミュレーターは10の4乗くらいのスケール幅は十分扱えるということを証明したわけです。 10の4乗をやるからこそ一つのシステム全体をやることができる。そうするとこの階層の振る舞いも地球シミュレーターでできるし、 こちらの階層の振る舞いも地球シミュレーターでできる。 それらの間は情報交換だけでよい。私は生命の情報交換がカルシウムとかカリウムとかどう動いているのか知りませんが、 おそらく先ほどの廣川先生のモーターが運んでいるのだと思いますが、上位階層の振る舞いには、 例えば下位階層の粒子の一つずつがどっちを向いているか、どれくらいの速さでバイブレーションしているのかという細かな情報は入れる必要がありません。 もっと自分達の階層を動かすような、おおきな情報のみが入ってくればよいのです。だから、あまり大量の情報交換はいらない。 だから二つの地球シミュレータ規模のコンピューターを用意して、 それをつなぎ合わせる形でマクロとミクロの住み分けをやってやれば非常に大きなスケールのもののシミュレーションができるだろうということになる。

[図42] そして、我々が興味あるのはだいたい何か異常な現象が起こったときです。 例えば地震だとか、豪雨だとか、オーロラだとか、太陽フレアだとか、がんだとか、 こういうどこかに異常な問題が起こったときはだいたいミクロのプロセスが誘発している。 [図43] そしてミクロなプロセスが誘発するには、外的な状況というものがエネルギーをそこに集中させて、そしてそれを誘発させるような状況を作る。 その部分だけを見つけて、モニターして、そして起こりそうだぞということになればそれをミクロなプロセッサー、シミュレーターに入れて、 そのシミュレーションをやってやればよい。

[図44] そこで、こういうふうな模型図が考えられる。 マクロなドメインの中で、それを記述するような大きな法則にしたがって大きなシミュレーションをやってやる。 そしてどこかに、その変化が大きくなって、そろそろこのミクロのやつが動きだす、活性化するといったときにこちらのシミュレーターを呼んで、 そこで10の4乗くらいのスケールでやる。 [図45] そしてミクロ階層に何か変なこと、がん細胞ができたとしたら、マクロ階層に入れて、そしてマクロの法則性がわかっていれば、 それを解いてやる。そういう形にすれば、10の4乗の10の4乗、即ち、10の8乗のスケールのシミュレーションができることになる。 これを四次元でしますから、10の30乗、40乗のスケールが解けることになるわけです。





図39
[図39]



図40
[図40]




図41
[図41]





図42
[図42]



図43
[図43]



図44
[図44]


図45
[図45]


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Last modified 2006.6.6 Copyright(c)2002 The Takeda Foundation. The Official Web Site of The Takeda Foundation.