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シミュレーションを通してみる未来の世界 |
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地球シミュレーターの誕生
現在アメリカのプロセッサーといいますか、スパコン(スーパーコンピューター)は全部これによっております。
それに対して日本では、これは三好さんという亡くなられた方ですが、やはりベクトルでないといけない、科学的に本当にイノベイティブなことをやる、
或いは産業界に対しても本当に具体的なもののために役立てる、そのためにはやはりベクトルアーキテクチャじゃないといけないと。
しかもそのベクトル型を、ひとつで大きいのはできないので、やはりベクトル型を今度はアメリカが考え出したパラレル並列にしようじゃないかということで、
ベクトルマシンをパラレルにするということで、地球シミュレーターができたわけです。
こうしてできた地球シミュレーターというのは非常に優秀なる代物でして、今でも世界のスパコン業界、
或いはシミュレーション業界をかなり震撼させていると思っていいと思います。
[図3] 地球シミュレーターというのはどこにあるかといいますと、横浜の杉田のあたりですが、東京から40キロぐらい南西のところにありまして、
この写真が地球シミュレーターの外観です。
[図4] これは地球シミュレーターが入っている建物の外観で、奥行きが65メートル、幅が50メートル、
高さが17メートルのドームの中に地球シミュレーターが入っております。
この建物は免震構造、そのほかいろんな電磁波に対する対策をして、雑音が中に入って誤動作をさせないように、非常にガードが堅くできておりまして、
これだけでも60ないし70億円のマンション、非常に高いマンションなわけです。
そしてその中に地球シミュレーターが入っていまして、円形状になってキャビネットが並んでおりますが、そのキャビネットの中にスパコンが入っておりまして、
この一つずつのスパコンの単位のことをプロセッサーノードと呼んでいます。
これはベクトルプロセッサーで、それ自体が一つのスパコンと呼んでもいいものですが、それを640個並列に束ねて、全体が一つの脳として働いています。
先ほどの廣川先生のお話じゃないですけれど、一つのプロセッサノードは、細胞、KIF17をこれはたくさん持っています。
それが640個つながっております。プロセッサーとしては5120個。これを一つに束ねるためには結合ケーブル、軸索があって、640個のノード間に情報が伝わる。
廣川先生の非常に見事なモーターがここにございます。そしてお互いの持っている情報を、トランスポーテーションといいますか、
情報を非常に効率よく交換するような形で全体ができています。
つまり、640個のプロセッサーノードがあって、それを一対一で、この中にあります結合ネットワークスイッチシステムでもってつないでいるわけです。
これ全体としては40テラフロップスの、一秒間に40兆回の演算をやり、そして一度に扱える情報量は10兆バイト、5兆語ぐらいの量を同時に扱えます。
そして、次々と、ものごとの未来の発展を予測していく中で出てきたデータを四隅にあります記憶装置に入れます。
人間の脳も一緒だと思いますが、演算して出てきた結果を貯蔵庫にためておき、そこからまたデータを取り出す、そういう形式でできております。
ちなみにこの記憶容量はおそらく人間よりも多いと思いますが、2.5ペタバイトの非常に巨大なるメモリを持っています。
建屋の下層部分は電源室です。コンピュータシステムは非常に熱を出しますので、その熱を冷ますために下から冷たい空気を送って、
そして大きな循環を起こして、発生した熱を壁を通して外に出すという形でシステムはできあがっております。
[図5] それを分かりやすく描いたのがこれです。8個のベクトルプロセッサーノードをひとつにまとめて計算ノードとする。
その演算速度が64ギガフロップスで、共有メモリが16ギガバイトです。
この計算ノードが640個、結合ネットワークでつながって40テラフロップス、10テラバイトの情報を扱えるという形でできております。
地球シミュレーターの使われ方
[図7] 現在、どういう形で使っているかというと、地球科学に約30%、これは気象の問題、海洋の問題、或いは地震の発生、
そういったものを研究するために30%、それから先進分野といいまして宇宙、エネルギー、バイオ、ナノ、流体などいろんなことを行う。
そのほか、政府からのひも付きのプロジェクトもあります。それ以外にも20%は、戦略的枠としまして、これは国際共同や産業応用に利用しています。
世界を非常に震撼させたわけでありますけれども、日本だけで使っておりますと、ここから出た成果というものがいかに良くても、
欧米というのはあまり評価してくれない。これは私の欧米におりました経験からですが、一緒に論文を書きますと、わりあい評価してくれます。
しかし、日本に帰ってきて一人で書きますといかに良くてもあまり評価してくれない。
そういう経験に基づいて、欧米にも大いに使ってもらおうということでMOU、協定を結んで使ってもらうといった形を採用しています。
或いは産業に応用するということもやっています、最近では政府もうるさくて有償にしろと言ってきます。
我々は独立行政法人ですが、どんどんお金を減らしまして、これは大学法人もそうですが、そして自分たちで儲けなさいというわけです。
それだけいい設備をもっているのならその資源を売ればいいじゃないかということで産業界から金を取りなさいという不埒なことになっています。
そういうことで今、経営的能力の無い我々が金儲けをしなければならないという羽目になっております。
[図8] これは、地球シミュレーターが4年前に稼動してから去年までの計算資源利用のデータですが、一月にどれくらい使われているかを示しています。
地球シミュレーターの640のプロセッサーノードが全部使われると、この1という目盛のところですが、実際には常に数倍の待ち行列ができているということで、
地球シミュレータはほとんど100%ずっと使われているというふうに見ていただいていいと思います。
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[図3]
[図4]
[図5]
[図7]
[図8]
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