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舘 |
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東京大学教授
舘 |
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遠隔操作できる分身ロボット |
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360度立体視が出来るTWISTER
[図26] 今までお話したのは、どちらかというとテレイグジスタンスのさらに高度なバージョンで、今までは歩けなかったものを、
歩きながら作業もするというように発展させたわけです。それと同時に先ほど申し上げたように誰でも使えるような状態が作りたい、
例えば会議の場合はこんな作業はしなくてもいいのですが、実際に面談をしているような状況というのを作りたい、
たくさん人が集って同じ場にいるような状況というのを作って、しかもそれは今のテレビ会議ではなくて、
きちんとした空間の中に一人一人がいてそれぞれがテレイグジスタンスしているという感覚を持たせるにはどうしたらいいかという研究を、
科学技術振興機構のクレスト(CREST)というプロジェクトの中で行いました。
[図27] 最初のアイデアは96年に遡りますが、人間に自然な立体視をさせたいということでした。
[図28] 立体視をするとメガネを着けることが多いのですが、メガネを着けますとその人間の映像をとっても、メガネを着けた映像になってしまいます。
シャッターメガネとかをつけると、実際の人と話しているという状況にはなりません。ですから何もしないで、裸眼立体視をしたいと考えました。
最近、裸眼立体視できるようなテレビもできていますが、どうしても画面が狭くなって、360度全体を覆うようなものはできあがっていません。
360度を見られてしかもメガネをかけないできちんと立体視ができるようにしたい。そのために考えられたのはこの可動パララックスバリアという方式です。
これはLEDのアレイが二つ並んでいてそれぞれが映像を作ってそれがぐるぐるまわることによって、周囲に映像空間を作りますが、それは2次元です。
3次元を実現するためには、右と左とを分離しなければならないのですが、パララックスバリアというものを使って右と左に分離します。
さらにそれらが一緒に動いていくのです。そうすると絵からわかるように右目にはいつも紫の映像が、左目にはいつも赤の映像が入ることになります。
ぐるりと回ってきてもいつも右は右、左は左の映像を見るのです。それはバリアーがあるからで、そのバリアーが右と左を分けているということです。
実際はLEDアレイとパララックスバリアの組が円筒状にたくさん配置されていて、高速で回転します。そうすると条件を満たした映像が次々と来て、
いつも人間には右目には右の、左目には左の映像が作られていて、しかも360度見えるということです。ぐるぐる回るとそのバリアーが消えます。
自動車のワイパーも速く動いているとその動きが気にならなくなって見えなくなってしまうように、このバリアーがなくなります。
だから映像はぐるぐるまわって連続的な映像になると同時に、ぐるぐる回ることによってバリアーが消えてしまう、
しかも右目と左目の映像が分離された状態になっています。そうするために運動を使うわけです。
なぜわざわざ動かすのかという質問がよくありますが、動かすところに秘密があるわけで、これができるのはメカトロニクスの技術がある日本だけです。
映像だけでやろうとしてもどうしても無理がきてしまいます。
[図29] このような感じで左と右とのLEDアレイを作ってこれを回して映像を作ると同時にバリアーをつけて右目と左目の映像を分離します。
さらにカメラをそこに配置して人間の映像をいろいろな方向から撮ります。
[図30] こういうものをTWISTERという名前で呼んでおりますが、これを2000年頃からずっと作っておりまして、
[図31] 2002年には、コンピュータグラフィックスで有名な学会SIGGRAPHに出して世界中の人に見てもらったわけです。
[図32] クレストにおいてそれを発展させたものが作られています。
映像を見て下さい。
(TWISTERのビデオ画像)
http://www.star.t.u-tokyo.ac.jp/~tanaken/2004/01/126_twister_tanaka.wmv
(講演のビデオとは少し違います。)
[図33] [図34] クレストのプロジェクトが終わりまして、日本科学未来館(東京・お台場)がこれを非常に面白いと言ってくれまして、
未来館にTWISTERの新しいシステムが導入されております。一般の公開はまだなのですが、おそらく3月の終わり頃になると、
申し込むと見せてもらえるガイデッドツアーとして見られるようになります。ご興味のある方はぜひそこで見て頂ければと思います。
実物を見ないと3次元と言っても、ここでお見せしたのは2次元ですし、映像は縦縞があるように見えますが、そういうものがありません。
未来館に3月末以降お問い合わせ頂いてガイデッドツアーを見て頂ければと思います。
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[図26]
[図27]
[図28]
[図29]
[図30]
[図31]
[図32]
[図33]
[図34]
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