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舘 |
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東京大学教授
舘 |
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遠隔操作できる分身ロボット |
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バーチャルはリアルに近い
[図1] ただ今ご紹介にあずかりました東京大学の舘でございます。遠隔操作できる分身ロボットについてお話をさせていただきます。
[図2] はじめにバーチャルリアリティについてお話をします。日本バーチャルリアリティ学会が出来まして今年で10年になります。
昨年の秋にバーチャルリアリティ学会第10回大会を安田講堂で行いましたが、懇親会等でこの武田先端知ビルを使わせて頂きました。
そういう意味ではバーチャルリアリティとこの会場は縁があると思います。
最近は少しずつ定着してきたとは思いますが、バーチャルという単語には日本語にはない概念があり、誤解があります。
そこからお話をさせていただきます。バーチャルという単語は仮想とか虚という言葉で表され、実体のないものと思われている方が多いのですが、
実はそれは誤解です。バーチャルという意味を正確に考えて頂けると、まったく正反対です。バーチャルという単語を英々辞典で見ますと、
"Existing in essence or effect through not in actual fact or form"とあります。
これがバーチャルという単語の意味です。つまり、実際の形はしていない、あるいは実物そのものではない、しかし効果としては実際と同じものである、
あるいは本質的には実際と同じだ、これがバーチャルという単語の意味なのです。
ですから仮想とはまったく逆の意味なのです。形は見えないけれども、やっていることは同じであるという事がバーチャルでありまして、
日本語で言えば、表面上あるいは名目上はそうでないけれども事実上はそうである、本質的にはそうであるという意味です。
バーチャルリアリティは現実そのものではないけれども現実のエッセンスを持っているのです。
[図3] 補足させて頂きますと、よくバーチャルとリアルを対比させて、反対語のようにいわれますがこれも正しくないのです。 リアルの反対語はイマジナリー、バーチャルの反対語はノミナル、名目上というのがバーチャルの反対語なのです。 名目上はこうだというのがノミナルです。名目上はないけれど実際は何であるかがバーチャルです。バーチャルはリアル側にいるのです。 リアルに非常に近い所にいるのがバーチャルの本質です。仮想はサポーズドでして、これはリアルとは違います。
例えば、バーチャルマネーが仮想貨幣だとしますと、仮に想定したような貨幣は誰も使えない。
でもバーチャルマネーというのはクレジットカードとか電子取引で使われます。
ほんとの金貨や札ではない、お金の格好をしていないけれどもお金と同じ役割をしている、それがバーチャルマネーです。
またバーチャルカンパニーというものがあります。これも仮想会社では怖くて取引ができません。
我々が通念として持っているカンパニーは社屋があり、従業員がいて、受付のお嬢さんがいるようなものです。
そうではない、ネットでつながっていて、自宅なのかもしれない、倉庫なのかもしれない、あるいは何箇所に分散しているのかもしれない、
しかし会社と同じことをやっているのでバーチャルカンパニーというわけです。
だから本質としてはその役割をしているのがバーチャルであり、そのバーチャルのシミュレーションが実世界で生きてくるのであり、
実世界で生きてこないシミュレーションはバーチャルではない。これが重要なポイントです。
これも古いジョークなのですけれども、ビル・クリントンが大統領の頃、バーチャルプレジデントという言葉が使われました。
バーチャルプレジデントはヒラリーさんです。ビルはノミナルプレジデント。
実際に取り仕切っているのがヒラリーさん。名目上のプレジデントがビル・クリントン、実際のプレジデントがヒラリーさん、
というジョークがあったぐらいです。バーチャルとはこういうものです。
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[図1]
[図2]
[図3]
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