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パネル討論


田中隆治


サントリー(株) 生産技術応用研究所長
田中 隆治



サントリーは、なぜバイオテクノロジーに取り組むのか BACK

青いバラをつくるわけ

[図30]
もう一つ、青いバラの話をしたいと思います。青いバラの化合物は、お茶のカテキンとほとんど同じ化合物です。サントリーはなぜ青いバラをやったか、青いカーネーションをつくったかというと、サントリーのアイデンティティーというのはポリフェノールなんです。植物のポリフェノールの科学はサントリーが世界で一番強いんだということを私どもが言い続けることが、サントリー商品の品質、安全性を訴求する。あるいは嗜好品が健康食品だと言い続ける根拠です。そういう意味で、ほとんどの植物が持っている花の色はポリフェノールというわけなのです。サントリーは、この分野において強いというのであれば、この分野の中で不可能は青花であるという意味で、ポリフェノールの科学を押し進める、このポリフェノールが植物の中でどうつくられ、どう組み合わせることが色にも体にもいいかという研究につながるということでやっています。

[図31]
このデルフィニジン(図31)、バラでは、青の色素のデルフィニジンがつくれないのですが、赤や黄色に行くパスウェイ径路を遮断し、青のデルフィニジンを合成する遺伝子を他の植物から取ってきて、昨年6月に、従来のバラに遺伝子を組み換えて、青のバラをつくったわけです。このような技術が確立すると、いろんなことができます。

[図32]、[図33]、[図34]、[図35]
さいごに、今やっていることを一つ。この色素の遺伝子です。サントリーはポリフェノールの科学で、いろんな遺伝子を取り出すことができたのですが、この遺伝子を植物に組み込んでおいてスイッチをつけます。例えば環境によくないダイオキシンとかいろんな農薬などに反応するスイッチを前につけて、こういう色素の遺伝子を後ろにつける。そうすると環境にある物質が存在しないときには白い花のままに咲いて、環境にある物質が存在するによってスイッチが入ると後ろの色素が発現して白い花が青や赤の花になったりするという、環境をモニタリングする植物ができる。色素遺伝子の代わりに環境物質を潰してしまうような酵素遺伝子を入れておくと、環境を浄化する植物ができあがってくる。私どもは、ポリフェノールという科学技術を用いてものをつくり、ものをつくると同時に今のバイオテクノロジーを技術を積み上げる事によって、皆様方が希望されているような一つの食品や植物の世界、環境の世界に取り組んでいきたいと思っております。ご清聴ありがとうございました。


図30
[図30]




図31
[図31]



図32
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図33
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図34
[図42]


図35
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