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パネル討論

第二部 パネル討論  「バイオテクノロジーは生活者を豊かにするか」



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宮田)
  いやいや、松原先生、実はその最後に時間があったら必ずしようという質問に関連することが触れられています。つまり、先ほど黒川先生の基調講演で戦争があったから科学が進んだぞというのを3回か4回繰り返していらっしゃって、私もそうだと思っているんです。戦争が今なくなったとするならば、局地戦を除いてですけれども、どういうふうに科学を発展させていくのかと、何が推進力(ドライビングフォース)なのか。黒川先生みたいにこう脅すってやり方は古いんじゃないかなってことを最後にみなさんと議論しようかな(笑)と、これを最後にもっていきます。田中さんに今の少子高齢化と、つまり医療費に資金を、どうせ僕らの国家予算(ナショナルバジェット)って限られてますよね?ですから国民の富をどう再配分するか、どうその効率を上げるかっていうことを考えると、今田中さんがやっていることは非常に重要だと思うんですけれども。

田中)
  ありがとうございます。私が思いますのは、黒川先生のお話の中で戦前までは平均寿命が40年であるとありました。数十年のうちに我々は80年まで生きるようになってきた。そうすると、我々はいつまで、何歳まで平均寿命は延ばせるのかという問題を、その平均寿命40で過去に亡くなった人と、今の60、70の人と質的にどうなのかということを考えてみたときに、私は一つ大きな要因としてあるのは、食料の問題であったと思います。私は人類はなぜ世界中にこれだけはびこったか?15万年前の世界で、動物、他の哺乳類や我々の食べ物というのは限定された世界でしか生きていないわけです。我々人間だけが何でも食べられるという中で、どういう地域でも生きてきたという一つの経緯があります。
  もう一つは、アメリカでも、日本でも平均寿命が80になったんですけれども、アメリカ人に言わせるとですね、アメリカは戦前まで何を食べてきたかっていうとほとんど肉とジャガイモです。そういう生活の中でやってきて、戦後いろんなことがあって、日本人の平均寿命が延びたのは、医療の問題もありますけれども、そういう一つの食料の問題が平均寿命を結構延ばしてきた。そうすると先生が今おっしゃったように、環境を20年後どういうふうに思うかといわれると、私はこのバイオテクノロジーというのは大変面白くて、人間という機能の中身がある程度わかってくる、そうすると今わけがわからないで食べているものにリスクがあったり、いろんな捨てているリスクがあったりすることがわかる。
  こういうことがわかってきて、「食育」という一つの考え方が出てきます。我々は効率的に食べていく、我々がクリアしなければいけないのは、平均寿命が60でも80でもいくらでもいいんですけれども、それは先生、あまり働くのは良くないという話がどこかであるかもわからないですけれども、そういう社会のベクトルで動いてたわけですから、我々が80まで生きても、60まで生きても、昔なら40何というふうな活力をどうやって維持していくかというのは、私は一つの見方として、我々人類がずっと継続してきた食べ物の世界の中にあると思います。その一つの複雑な仕組みがこういう一つのテクノロジーを使って出てくることによって先生がおっしゃられたベンチマーク、20年後のベンチマークどうするかというのを、ある意味で考え、ある意味で解決できる、またもちろん方向性を示す一つの考え方ではないかなと私は思っております。

宮田)
  田中さん、ちょっと質問します。その後、黒川先生に同じ質問をしたいと思っておりますけれども、そうはいってもですね、例えば先ほどのセサミンの開発を聞いていると、もっとお酒を飲んでもいいような、私たちの今の体のアミノ酸配列とか遺伝子配列ってあんまり氷河期と変わってないわけですよね?突然変異(ミューテーション)の割合(レート)から言うと。そうすると、我々の体はものすごい欠乏に対して怯えているんです。ですからつい食べちゃうんですよね。そうするとその動脈硬化とか糖尿病が起こるじゃないですか。それをさらに促進するような食品開発というのはどういう意味が・・・

田中)
  いや、おっしゃることはよくわかるんです。促進するんではなくて、うまく調和の取れた食育という世界をつくり上げていって、その余計に食べなくていい世界をつくる。おっしゃる通りなんですね、人間とほかの動物の違いは、これは飢餓の状態がものすごく強かったので、人間は一時に大量に食べる構造になっているわけですね。
  しかし、そのメカニズムと今現在でですね、食品を摂取するメカニズムのギャップが起こってきている。これは一部わかっているのですけども、それをもう少しマトリクス的に、あるいは合理的にわかるような世界がくると、全ての教育の重要性が言われるように、食の教育をうまくコントロールする。そうすると、皆さん、いくらまで生きたいかということと関わり、社会に貢献できる年齢も結構上がってくる中で、単純に平均寿命というふうな話にはならないで、そういう基盤ができてきてこそ、20年後や何年か後のベンチマークもその少子化の問題も含めて考えることができます。
  飢餓で悩んでいる国もあるんですけれども。高齢化社会に生きてですね、あるサイエンスを理解するインテリジェンスの高い人たちの一つの役割、先生の言われる役割としてやっていかなければいけないところではないかなというふうに思っております。

宮田)
  ありがとうございました。僕もサプリメントを今6つくらい飲んでいて、サプリメントで肥満しそうな感じがしています。基本的に、後ほど時間があればまたいいますけれども、バイオテクノロジーは企業、つまりコマーシャリズムで行われている面もありますので、そことの折り合いということなんですけれども、今田中さんいいことをおっしゃってくれた。やっぱり食育というような意味で、企業もやっぱりこんなにサプリメントを食べたら体に悪いですよ、ということをちゃんと言うようなサイエンスを支援すべきだと思うんですけれどもね。

田中)
  それはもうおっしゃるとおりです。なかなか、現実は企業の中でもうまくいかない、アミノ酸を大量に摂取するのがいいのか、歴史的にこういうことを言うと私明日クビになるかもわかりませんが、お茶の世界の中でね、日本人が今ほどペットボトルで大量にお茶を飲んでる社会はないわけですね。日本人はコップでお茶をちょびちょび飲みながらという世界観があって、だけどそれがいいのか、今のように大量に飲むのがいいのか、よくわかっていない中でね、確かに、大量のお茶を飲んでいるというふうな現実はありますね。それに対して、お前たちはもっとしっかりやれというのは、それはおっしゃられるとおりだと、もう返す言葉がないと。

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