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パネル討論


黒川清


第二部 パネル討論  「バイオテクノロジーは生活者を豊かにするか」

日本学術会議会長
黒川 清



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人材育成こそ高齢化社会への対応

そんなことで、基調講演なんて言ってたのだけども、もう一つは、必ず起こってくるのは、高齢化社会です。高齢化社会になり、女性が社会進出するような豊かな国になれば必ず少子化が起こります。それをどうするかというのは、日本の課題ではあるんだけれども、移民するのですか?相変わらず国を閉めておくのですか?イタリアは日本より出生率が低いと言ったって、イタリアはECで陸続きなんだから、あまり気にしてません。だけど日本は陸続きになろうったってできません。しかも、地球の温暖化で、これから100年後には水位が60センチから70センチ上がると言いますよ、どうします?今から何ができます?どうせ私はいないんだからいいやって言う人は、たくさんいると思いますよ。私はそのころ年金もらうなんて言ってるけど。冗談じゃないですよ、自分たちの子供たちに何を残すかということをよく考えないといけません。

日本は今までの世代、いわゆる冷戦構造とアメリカに占領されたという枠組みで成長してきた人たちが、あまりにも自分たちの将来の世代のことを考えてないんじゃないかなと思います。それをどうするかというのは誰が決めるんでしょう?それはやっぱりメディアも大事だし、最近のNHKを見てればそうかもしれないけど、やっぱりどういう情報を出すかというのがすごく大事ですね。だから、科学技術、バイオテクノロジーは生活者を豊かにするか、それはあなたたち次第ですよ。テクノロジーは、決してあなたたちを豊かにしません。何をするかというと、どういう社会にしたいのか、それは何のためなのか、ということを考えて初めて技術が生かされるものだと思います。だからそれにはやっぱり国のビジョンであり、そのビジョンは歴史的な展望の延長上から推測されることと、世界が動いてくるダイナミズムとパラダイムは何かということをきちんと予測して、アジアでの信頼の再構築を、2050年までにやり遂げなければなりません。イギリスだってアヘン戦争を150年前に起こして、あれだけやっといて今は仲いいですね。そのぐらいかかるんですよ。それぞれの世代が過去のことを忘れて2世代くらい経たないとなかなかうまくいきません。ということを考えると、何をしたらいいかということは、人材の育成であり、若い人たちの教育であり、科学技術というツールはIT、バイオ、ケミストリー、ナノとか言ってますけど、それは環境にどうするかという共通のミッションを達成するための手段ですよ。と私は思います。

そういうことで、ぜひ将来の日本はどうかといっても2050年に、なぜ私が2050年にこだわるかというと、2050年というと、まだ向こうの方であんまり関係ないと思っていませんか?だけど2050年に還暦に迎える人は今14歳ですよ。2050年に仕事のピークの50歳の人は今4歳です。この人たちがこれから受ける10年間の教育を考えたら、私は非常に不安です。そういう国を目指すためのミッションというのはいくつかあります。教育であり、国であり、政府の形であり、国家の安全であり、という話になるんだけれども、しかしそれは2050年ではあまりにも遠いから、2020年にそのミッションをどこまでもっていくかというベンチマーキングができると思います。


せめて15年先を考えよう

なぜかといえば、15年と言えば、あまりにも先で、俺はもういないよと思っている人もいるかもしれないけど、だけど15年前に何があったでしょう?15年前にはベルリンの壁が落ちました。その2年後には冷戦がなくなりました。予想しましたか?15年前には天安門事件が起こりました。今の中国から予想できましたか、そんなことが?20年前や15年前には日経平均が39,000円でした。次の年には2万円になりました。今や国の借金は、GDPの140パーセントです。特殊法人その他の隠れ借金は300兆円です。トータルで1,000兆もの借金が返せると思います?不可能(インポッシブル)です。たった15年でこんなことが起こるというんであれば、これから15年先に皆さんの英知を言えば、この辺じゃないかということがある程度わかるんじゃないですか?そのベンチマーキングをして、5ヵ年計画の三つをどういうふうに達成するかということを考えて、情報を発信して人材の育成にどうやって投資(インベスト)するかということこそ科学技術の投資の方法であり、それはやっぱり環境に優しい、成長する地球の温暖化というような話について、何が貢献できるかというのが日本の最大のミッションじゃないでしょうか。特に、先ほど言ったようにアジアのイスラムの、イスラムの60パーセントを占めているアジアでは日本はすごくいい関係があります。インドネシアもそう、マレーシアもそう、パキスタンもそう。ただ、そこにどういうふうにソフトパワーを構築していくかということに、戦略的に投資することこそがやっぱり日本の戦略だと思います。というわけでバイオテクノロジーは生活者を豊かにするか、生活者ってまさか私たちのことだけ考えているわけじゃないでしょうね。ありがとうございました。

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Last modified 2005.3.1 Copyright(c)2002 The Takeda Foundation. The Official Web Site of The Takeda Foundation.