吉川先生と西村先生を囲んでの全体座談会
1.Disciplineの価値評価
2.賞賛の意味
3.目に見えないものの評価
4.生活者の欲する空間
5.本来の工学
6.第二種基礎研究の例
7.公的資金と私的資金
8.現実に富を作るのは企業
9.第二種基礎研究は民にもある
10.目標設定が重要
11.第二種基礎研究には方法論の構築が必要


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10.目標設定が重要

(禿) 
先生のさっきのCADの話もおもしろいなと思ったのです。Sutherlandの話です。結局、ドリームがあって悪夢があって商品化されました。でもなんでそんなに長くかかったのっていう話の時に、いろいろな知識がまだ足りなかったからという話をされました。なんでそれがそんなにかかったのかというのは、この最終ターゲットがやはり見えにくかったのだと思うのです。もう少し卑近な例で言うと新幹線があります。新幹線をやるぞと適当に言った人がいて、例の十河さんです。そこへもってうわっと行く。その時には1つのDisciplineではなくて、通信系、モーター系、いろいろなものがターゲットに向かって集まって商品化されたのです。ということは、意外とその問題設定というのは大きいのだろうなという気がするのです。いまは、その旗振りが何もなくなってきたのでうまくいきません。それてある旗振りの元に、目標設定に向かって多くのDisciplineが統合することは可能です。それがないだけにみんなばらばらとこう行こうとします。そういう気がしているのです。

(吉川) 
そう。ですから、ご指摘のように旗振りがいなくなったというのは、やはり新しい鉄道をつくろうとか、新しい飛行機をつくろうということについて、何というか、モチベーションが社会として希薄になっているのです。しかし、やはり環境問題にはものすごく大きいモチベーションが出ているので、今年やはりすべての企業も、すべての研究者も、やはり大きなターゲットとしてサスティナブル・ディベロップメントというのを設定すべきだと思うのです。これは本当に人類共通のターゲットになってきていますからね。そこは忘れてはいけません。ですから、決して今が、旗振りがいなくなった時代ではなくて、やはりはっと気が付いたら、そっちのほうにいたということだと思うのです。



 
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