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松原謙一


(株)DNAチップ研究所社長
松原 謙一



バイオテクノロジーとは何か BACK

バイオテクノロジーに必要な生命倫理の考え

[図11]、[図12]
先ほどの年表は85年で切れておりましたから、その後というのを大雑把にサマライズいたしますと、ゲノムプロジェクトというのが発足しました。そうすると遺伝子全部のことがわかってくる。それから生命研究と情報科学が結びついて他の生物との合理的な対比ができる。そして、それと並んで胚の操作、あるいは脳科学というようなものがどんどん進んできたところであります。




[図13]
これらを通して生き物の科学の様変わりが20世紀の後半から21世紀現在もまだまだ起こっている状況であります。ですからバイオテクノロジーというのはこういうことを全部包括して発展を続けていくというので、第三のフェーズに入っていると言っても良いのではないかと思います。第三のフェーズは胚の操作、それから情報科学との融合、脳科学、こういうようなものが基礎になっていくわけであります。

[図14]
最後でありますけれども、テクノロジーは、それでは科学技術の社会という今日の中で、今のような生き方でいくといろいろ問題を起こすのでないかということが世界で一般的に言われております。そこで、二つのことを私は最後に申し上げておきたいと思います。20世紀以来の生き物の研究は生きる仕組みの理解を格段に深めました。これは今まで縷々申し上げました。そうすると生活に直結するたくさんの技術、特にこれまでも、これからも、出てきたし出てくるであろうということは、疑いもないところであります。それは、バイオテクノロジーの大事な部分であります。しかし、それが科学技術だろうかということがもう一つあるわけですね。これは、本質的にはサイエンス・アンド・テクノロジーでありまして、サイエンスの部分は生命の本質、あるいは生命の流れ、あるいは生命の関係の理解を格段に深めたというところを忘れてはいけないのであります。それはこの下に青い字で書いてあります(図14)。

これを基にして皆がきちっとバイオテクノロジーをどういうふうに使っていくかということによって、怪しげなテクノロジーをサイエンスフィクションまがいに展開をするということに歯止めがかかると、私は考えております。どうしてこういうような状況があるのかということは、ただ単にそれがお金儲けになるかどうかと、あるいはただ単に目先の問題解決になるかどうかだけでなくて人間ってなんだということをきちっと理解する。こういう問題をもって対応するときに、小さい範囲に閉じ込めた生命倫理とかそういう問題の議論でない本当の判断ができると思っております。バイオテクノロジー議論は必ず生命倫理の問題と絡めて考えなければならないところでありますけれども、その二つは別個のものではなくてこういう具合にして絡みながら発展してきて、こういう具合にしてサイエンスのほうからの知識をテクノロジーにどういうふうにトランスファーするかというときに、人間を考える材料も提供しているのだということを忘れずにこれからやっていかなければならないと思っている次第です。これで私の話を終わらせていただきたいと思います。どうも、ご清聴ありがとうございました。

図11
[図11]


図12
[図12]



図13
[図13]



図14
[図14]



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