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パネル討論


松原謙一


(株)DNAチップ研究所社長
松原 謙一



バイオテクノロジーとは何か BACK NEXT

技術の発展と生命の研究は車の両輪

[図5]
このDNA研究のインパクトをご覧いただきますと、この組換えDNA技術で、72年をきっかけとして、どんな遺伝子でも手に入れられ、また、遺伝子を調べて、改造して、細胞に戻して働かせるという時代が始まってきました。


遺伝暗号の一例の絵
[図6]
これはその一例で、ATGCの4つの文字の並びが、例えばそれをどういうふうに調節するか、働かせる調節があるか、どういうふうにしてその遺伝子が使われるたんぱく質として読まれるか、それをどういうふうに編集したりするかというような、こういう暗号が、ほとんど完全に解読される時代になったのです。

[図7]
そうすると当然、先ほどの年表にあるように、78年のインシュリンの生産によって、成長ホルモンとインシュリンを大腸菌につくらせるということがあれば、たちまちブームが起こってきまして、これが言わば第一の生命操作のブーム、あるいはバイオテクノロジーブームと言う人もございますけれども、病気の研究、薬をつくる研究、食物や食べ物の研究、環境エネルギーの問題の研究、こういうものが70年代から80年代にかけて非常に活発に行われまして、生き物の働く仕組み、それから遺伝子や細胞や組織の体の理解が格段に深まってきたのであります。

組織や器官形成

[図8]
例えば、組織や器官の形成を、ここで(図8)ご覧いただきますと、この赤いのは皮膚の再生のところでありますけど、赤い細胞がどんどんどんどん皮膚の表皮になっていくところで一体どういう遺伝子が働いてきちっと皮膚が保たれているのか。それから真ん中のちょっとくの字のようなグレイの下に赤いポッチのあるところですと、将来胃になるところの反対側にあるところがどういう具合にして肝臓になっていくのか。こういうメカニズムが非常に詳しく読まれている。右上のピンクのところでは、これは肺でありますけれども、もう好むところに肺の芽をつくってしまうということまでできるところまで研究が進んでまいりましたし、例えばがんに関わるいろいろな遺伝子がどういう系で働いているかというのは、あたかもサブウェイマップのように書いてみせるというようなこともできるようになってまいりました(図9)。

[図10]
そうするとこれを基にして操作をする。つまり生き物の理解?遺伝子や細胞や組織や身体の理解?が格段に深まっていることに基づいて、遺伝子を加工して薬をつくったり病気を治そうとしています。それから細胞を操作して組織再生などに役立てようと。それから受精卵、これは動物ですね。カルス、これは植物でありますけれども、これらを操作して個体を改造しようという試みが出てまいりまして、結局生き物のメカニズムを知って、それを操作して合理的に改造して技術そのものをどんどん進めるという、これが言わば、発展の第二段階に入ったと考えてよろしいかと思います。90年代はだいたいこういう時代であったと思います。 大事なことは80年代に薬がつくれると飛びついただけでなくて、それを基にして生命現象を非常に深く理解できたためにさらに何をしたらいいかということと、そのための技術がどんどん進んだということで、これを全部ひっくるめてバイオテクノロジーと呼んでいいのではないかというふうに私は思っております。つまり、バイオテクノロジーは生命のいろいろな機能を利用して合理的に役に立つものを生産する技術であると定義してしまうとあまりにも平板でありまして、今ご説明申し上げましたように、約20年から30年にわたる発展の歴史を通して技術が開発される。それを利用し生命の研究が深まり、またそれが新しい技術をつくる。そして武田理事長が冒頭でお話になりましたように、それが人類の、あるいは人々のために役に立つ。そういうものになって、今も絡まりながら発展しているわけであります。


図5
[図5]



図6
[図6]



図7
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図8
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図9
[図9]




図10
[図10]



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