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講師: 斎藤成也(さいとう・なるや)、
ゲスト講師: 佐々木閑(ささき・しずか)
日時: 2006年4月21日 |
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日本人はどこから来て、どこへ行くのか |
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三井: 皆さん、今晩は。今日はお天気が悪いので、心配していましたけれど、こんなに大勢集まって下さって、
本当に嬉しく思います。これから、「カフェ・デ・サイエンス in 福井」を始めたいと思います。
この集まりは、科学者とそうでない人とが一緒になって、同じテーマについて話し合うものです。
普段、科学者と科学的なお話をなさるという方はそんなに多くないと思います。
普通の人は、日常的な言葉で話し、具体的なイメージで理解するというのが、一般的ですね。科学者というのは、専門用語を使って、
まるで暗号みたいなものをやりとりして話をしているように聞こえます。今日は、科学者の方には、絶対に専門用語を使わないで話をして頂きます。
こんなことは科学的じゃないからというようなご心配は一切なしです。
むしろ、そういう質問のほうが専門家は怖いんですね。ドキッとすることが多いわけです。
それが、普段、専門家同士で話しているときにはなかった発想だったとか、非常に新鮮なこともあるわけです。
ですから、ご遠慮なく、何でもお聞きになって下さい。今日は、科学的な解説をして頂くために、斎藤さんと佐々木さんに来て頂いています。
先ず、お二人をご紹介したほうが良いと思うんですが、今日は、自己紹介というのではなく、斎藤さんのことは佐々木さんに紹介して頂き、
佐々木さんのことは斎藤さんに紹介して頂くということで、お願いしたいと思います。
佐々木: 今晩は。私は佐々木と言います。自己紹介してはいけないんですね。
この人は斎藤成也さんと言います。今日は「斎藤さん」と呼び合うことになっていますが、普段は「斎藤君」、あるいは、「成也君」と呼んでいます。
藤島高校の同級生です。私は三国中学から、彼は附属中学から入りました。
同じクラスの「斎藤」と「佐々木」ということで、名簿では並んでいましたから、入学した時に、私の前に座っていたのが彼なんです。
僕は三国の田舎から出て来たので、「偉そうな人がたくさんいるなぁ」と思っていたんですが、その中でも、
とりわけ彼は、モダンな教育を受けてきたという感じがしたんですね。
1年と3年のときに同じクラスになりましたが、非常に気が合って、仲良しになりました。
彼は、東大の生物学のほうへ入りましたが、僕の家は寺なので、坊さんになろうと思っていて・・・。
あっ!自己紹介しちゃいけないんだ!難しいなぁ?(拍手、笑)。彼は、その後、人類学の道を進みました。
遺伝のほうです。遺伝と言っても、その頃は既に分子生物学が発達していましたから、DNAを使って遺伝を調べるという新しい領域が、
どんどん開発されていました。そのなかで、特に、日本が、そして世界が誇る天才的な生物学者である木村資生先生の「中立論」という学説に、
彼は惚れ込んだのです。そして、その道を一筋に進んで、東大の大学院を卒業し、テキサス大学ヒューストン校に行きます。
ここに日本人の根井先生と呼ばれる大変立派な先生がおられまして、今では、アメリカのアカデミー会員になっておられますが、
その先生のもとで勉強し、Ph. D. つまり、アメリカの博士号をおとりになりました。帰ってきてしばらくすると、東京大学理学部の助手になります。
それから、憧れの木村先生のおられた国立遺伝学研究所というところに、助教授として赴任し、そして、今では教授です。
その教授のポストというのは、何と、憧れの木村先生が就いておられたポストなんです。
つまり、大学時代に憧れた「希望の星」に、今追い付いたという感じなんですね。
それは大変ロマンチックな人生だと思います。やっていることは分子生物学ですが、彼は文科系的な素養が非常に強い人間なので、
単に科学をやるだけではなくて、「人間とは何だ」というような非常に哲学的で本質的な問題を、いつも探求して、それを科学的に解こうとしている、
そこが彼の学問の魅力になっています。とにかく、彼は非常に素晴らしいんです。
斎藤: 斎藤です。佐々木閑さんを簡単にご紹介させて頂きます。
高校3年生の時に、我々のクラスで何かしようということになりまして、彼が紙芝居を作りました。そのときから、
彼の現代国語の力は「すさまじい」ということはよく知っていたんですが、何故か、京都大学の工学部に入ってしまいました。
後で聞くと、彼が卒業研究で入った研究室は、ノーベル賞を受賞された野依先生が助手をされていた研究室だったそうです。
結局、彼の家が三国の称名寺(しょうみょうじ)という寺だったもんですから、アリ地獄の中にアリが吸い込まれていくように、仏教学に戻ってしまった。
カリフォルニア大学バークレー校にも留学されていて、私も遊びに行ったことがありますが、バークレー校の仏教学科の人達は、
ほとんどがホモセクシュアルだという話を聞いて、やはり、ホモというのは皆インテレクチュアルなんだなぁと思いました。
現在では、花園大学にいらっしゃいます。
(佐々木さんから、微妙な話を否定して欲しいとの要望があり・・・)
彼は、たまたま、私の知り合いと結婚されまして、子供さんも3人いらっしゃいます。
本もいろいろ書いていらっしゃいますけれども、鈴木大拙の門外不出にしてきた英語の本で、仏教界では物議を醸しつつある『大乗仏教概論』
の翻訳者でもあります。昨年、岩波書店から出版されました。以上、簡単に説明させて頂きました。
三井: ありがとうございました。
ちょっと、先が思いやられるような気がしますが、ここで、少し時間をとります。向こうに軽食を用意してありますので、召し上がって下さい。
お飲物も十分ございます。その間に、近くにお座りになった方同士で、自己紹介などなさって、仲良くなって下さい。
そうすると、後から発言し易くなるのではないかと思います。それから、写真に撮られたくない方は申し出て下さい。
先程、受付で、アンケート用紙をお渡ししてあります。
書いて下さった方には、文科省が今年の科学技術週間のために用意してくれた「ヒトゲノムマップ」を差し上げたいと思います。
去年は、「一家に一枚、元素周期表」というのを作って、大変好評だったのですが、今年は、「一家に一枚、ヒトゲノムマップ」です。
(食事休憩)
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