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2.発光半導体デバイス
2.1. 発光ダイオード(LED)
LEDは直接遷移型のバンド構造を持つ化合物半導体材料のpn接合を使った素子であり、注入された電子と正孔が、pn接合界面近傍で再結合して、光を放出するものである。また発光効率を高くするため、バンドギャップの大きいp型およびn型層で発光層を挟み込むダブルへテロ接合型が広く用いられている。放出される光の波長は、各材料固有のバンドギャップにより決まり、赤外から緑色までは、砒化ガリウム系とリン化ガリウム系の材料が用いられる。1970年代にはこれらの材料を使用したLEDが実用化され、各種表示デバイス用に広く用いられてきた。
2.2. レーザダイオード(LD)
初期のLDは、LEDと同じ化合物半導体材料でpn接合発光層を形成するホモ接合を使って、レーザ発振をさせていた。しかし発振条件を満たすためには、大きな注入電流を必要とするため、低温におけるパルス発振のみが可能であった。レーザ発振を起こさせるには、pn接合に注入する電子と正孔の濃度を高めることにより、伝導帯と価電子帯との間に反転分布を形成する必要がある。この状態で、半導体の端面に対向する反射鏡を設けて共振器を形成することにより、誘導放出による位相の揃ったコヒーレントな光を放出するレーザ発振が起きる。高効率でかつ安定した室温連続レーザ発振を得るためには、LEDと同様のダブルへテロ接合型が広く用いられている。赤色、赤外LDは光ファイバ通信用デバイスとして、赤色LDはそのほかにDVDなど光高密度記録の書き込み、読み出し用デバイスとして、1980年代に実用化されている。
2.3. 青色発光半導体デバイス
青色発光半導体デバイス用材料としては、バンドギャップの大きさから、炭化シリコン(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、そして窒化ガリウム(GaN)の3種類が考えられた。その中で炭化シリコンは間接遷移型の半導体であり、発光デバイスとしては不適であると考えられた。セレン化亜鉛が青色発光デバイスに適していると考えられ、1970年代から多くの研究者が開発に取り組んだ。LED、LDのいずれも実験室レベルでの試作に成功したが、電極部分の金属が発光部分に拡散する問題点などを解決することができず寿命が短いため、製品化できなかった。
1970年代から窒化ガリウムが、もう一つの材料として、研究されていた。しかしながら、格子定数が16%違うサファイア基板を使わざるを得ず、均一な窒化ガリウム薄膜を得ることができなかった。また不均一ながらn型薄膜は得られたが、p型薄膜は実現できなかった。このような状況で窒化ガリウム研究者の多くは、窒化ガリウムを使った発光デバイスの実現は困難であると判断し、研究を断念していった。
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