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講師: 織田孝幸(おだ・たかゆき)
新井仁之(あらい・ひとし)
日時: 2006年11月8日 |
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数学カフェ 「無限を極める」 |
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三井:数学カフェも五回目になりまして、あと一回しか残っていないのが残念ですが、今日も楽しい2時間にしたいと思います。
今日は、専門家として、毎回来て下さっている織田さんと、解析学がご専門の新井仁之さんに来て頂いています。お二人とも東大の教授でいらっしゃいます。
後ほど、お二人に、それぞれ自己紹介をして頂きます。
このカフェ・デ・サイエンスは、当日の話がどんなふうに展開するか全く分かりませんので、私自身は冷や汗を流しながらやっているんですけれど、
事前のお申し込みのときに、どんなことが聞きたいかとか、疑問に思っていらっしゃることを書いて頂き、それを参考にして、ある程度、テーマを組み立てています。
今回は、そういうことができそうにないのですが、予告には、面積あたりから入っていくと書いてありますので、最初は、少しお勉強的なところから始めましょう。
そして、後半は、割合と応用的なところへ入っていくというような心づもりでやりたいと思います。
ここで、少し、このカフェ・デ・サイエンスの精神というようなものを吹聴させて頂きます。一言で言えば、サイエンスを文化にしたいということです。
つまり、普通の言葉でサイエンスを楽しく語るということを、繰り返しやっていると、日常的にサイエンスのことが語れるようになるのではないかなと。
そういう気の長い考えでやっております。ですから、専門家の方も皆さんも、専門用語はお使いになりませんように。この点は、よろしくお願い致します。
これは、専門家のお二人には耳を塞いでいてもらって、他の方には内緒で教えたいんですが、先日、お話を伺っていたら、
一般の人に数学を厳密に説明しようとすると、かえって分かり難くなるから、そこは簡単に話してしまうのだそうです。悪い言葉で言いますと、
ごまかすわけですね。ですから、皆さんがお話を聞いていて、これはと疑問に思われたら、どんどんご発言なさって下さい。
そうすれば、お話が一面的ではなくなって、いろんな面から考えられるようになるのではないかと思います。
では、10分程度、お食事の時間をとります。
(食事休憩)
三井:例によって、先ず、織田さんから、自己紹介を兼ねて、「無限を極める」というテーマを選ばれた理由も含めてお話して頂きます。
15分以上は話さないで下さい。
織田:東京大学の織田でございます。前回は少し調子が悪くて、代わりに、平田典子さんと森田茂之さんにやって頂きました。
数学は、子供の時から割に好きでした。中学二年生の頃はエンジニアになるつもりでしたが、いろいろな経緯がありまして、大学で数学を専攻し、
現在は整数論という分野で、変な性質をもった関数を扱っています。使える道具としては、モジュラー形式、モジュラー関数とか、解析的な関数も出てきます。
関数を扱うのは微分積分。高校では、二年生の終わりぐらいから三年生で、大学では、理科系の学生になると、一年と二年で必ずやらされます。
私の息子の一人は、今、理工系の一年生で、切羽詰まって、レポート問題が解けないと、私に相談するんです(笑)。
微積分の歴史は非常に古くて、400年ぐらい。フェルマーの頃からだんだんとできてきたんですが、実は、数学が厳密に使えるようになったのは、
割と新しくて、ニュートンの頃は、結構いい加減なことをやっていて、きちんと証明しているわけじゃないんです。
いろんなことを厳密に証明できるようになったのは、この100年か、150年前くらいですかね。
解析は現代数学の半分くらいを占めていると思います。その基本的な考え方を、一度、正面切って話したほうがよいし、今、数学者は、
どんなものを基礎にしてやっているかというのを少しでも分かって頂けるかと思って、今回のテーマを選びました(拍手)。
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