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講師: 織田孝幸(おだ・たかゆき)
日時: 2006年7月27日 |
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数学カフェ 「素数」 |
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三井: 今回は「数学カフェ」としては3回目で、お二人の専門家に来て頂いています。
お一方は、第一回の数学カフェからお馴染みの織田さんです。それから、今日のゲスト講師は寺杣さんで、お二方共、
東京大学の数学の先生でいらっしゃいます。最初に、話題提供と自己紹介をして頂くことにします。
織田: 織田と申します。専門は整数論です。整数論というのは、
整数のいろんな性質を調べるのですが、私は、その中でも、特に、"modular form"とか"automorphic form"、つまり、
保型形式に関係したことをやっています。どんなものかと言いますと、オランダの版画家でEscher
(Maurits Cornells Escher: 1898-1972) という人がいますね。Escherの版画の中に、
円の中に天使と悪魔を描いたものがあります。天使と悪魔が繰り返しパターンになっている絵です。
その天使と悪魔がワンセットになった領域で定義された関数があるんですが、それは、
別の天使と悪魔の領域でも同じ値をとるという関数です。それと、素数との関係ですね。そういうことを調べています。
素数ですけど、素数が縁で数学の研究をやる人はけっこういるのです。私の先生の先生の先生は、この間、
百歳で亡くなられた弥永昌吉先生(1906-2006)で、四代前には高木貞治(1875-1960)という先生がいます。
図書室に銅像が建っています。お墓は多摩霊園にあるそうです。その先生というのが、
現代数学の生みの親の一人と言われているDavid Hilbert (1862-1943)という人です。
Gottingen大学の教授でした。Hilbertが数学を始めたきっかけは、お母さん。お母さんは素数が好きだった。
そのお母さんから素数を教わって、それで数学を始めたということです。
今日は、そういう素数に関するお話をします。私の前にいるのは、私の同僚で、寺杣友秀さん。
整数論と代数幾何のちょうど間みたいなことをやっています。
三井: 実は、数学のことをカフェでとり上げるのは、冒険だと言われたんですね。
これまでに2回やりましたけれど、身近な数学の話をしているつもりが、いつのまにか難しい話になって、
私達が聞いてもチンプンカンプン。言葉で数学を語る難しさというのはありますけれど、聞くところによれば、日本の中で、
ある数学の問題について、お互いに話が通じるのは、5本の指で数えられるくらいだそうですから、今日の講師の先生方には、
なるべく、難しい方へ寄って行かないようにお願いしたいと思います。
寺杣: 寺杣です。代数幾何という、
代数方程式で定義されているような図形を研究しています。
図形の解や図形の上に乗っている点が整数と関係しているときはどんなときかとか、場合によって、
複素数と関係する対象を扱ったりもします。
日本で代数幾何というと、世界に認められた優秀な方が多くて、フィールズ賞をとられた小平邦彦先生(1915-1997)、
廣中平祐さん(1931-)、森重文さん(1951-)など、有名な人がでていますけども、私は、そういう方向とは少し違う代数幾何で、
整数論と関係したものをやっています。
私の子供は中学生なんですが、子供に数学を教えるときも、ついつい、「この関数は」と言ったりします。
話が難しくなるかもしれませんが、そういうときは指摘して下さい。
三井: ありがとうございます。皆様にお飲物とか召し上がるものが行き渡ったようですので、
ここでちょっと、召し上がるものに専念して頂こうと思います。その間に、近くにお座りになった方と仲良くなって、
雰囲気を良くして頂くのもいいかと思います。
<食事休憩>
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