The Takeda Award 理事長メッセージ 受賞者 選考理由書 授賞式 武田賞フォーラム
2002
受賞者
講演録
畚野信義
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Q&A






畚野信義
 
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[図 42]

[図 43]

[図 44]

[図 45]

[図 46]

[図 47]

[図 48]

[図 49]

[図 50]

[図 51]
[図 42]
TRMM衛星はこういうふうなものになっています。バラバラにしますとこうなっているのですが、これが衛星で、それぞれの搭載機器、これがレーダですね、いろんな観測機がこういうふうに載っています。

[図 43] [図 44]
これはゴダードで組み立てている状態で、日本のH-IIロケットで種子島から打ち上げた。またこれも我々にとって非常に幸運なことに、これがH-IIロケットの最後の成功例になったわけです。

[図 45]
これが最初にとられたデータの一つですが、ここの黒いところをレーダが観測して回っている。一回目のトライで、その中に幸運にも台風や豪雨域などを捕らえておりました。

[図 46]
こういうふうに、レーダの特性としていろいろな違う高さの3次元のデータも取れるということがわかります。この他にもさまざまなデータもありますがこれは後で岡本君がまたもう少し詳しく話をしてくれると思います。

[図 47]
TRMMは今こういう形で飛んでいます。これは漫画ですが、こういうふうに飛んでると想像しています。振り返ってみますと、私たちの計画の最初から今日に至るまで幸運にもあまり計画を変えることがなかった。

[図 48]
変わったところを挙げると、レーダは最初二周波のレーダを使おうと思ってたのですが、予算、衛星のサイズの問題、これは日米双方の理由から一周波になりました。だが、次のGPMという計画では当時諦めましたミリ波のレーダも日本側で開発して搭載するということで進んでいるようですので、次に期待したいと思います。もう一つ、衛星の傾斜角がどんどん変わっていった。これは、最初はケネディスペースセンターからアメリカのロケットで打ち上げる計画でしたので26度です、次はH-IIで種子島から打ち上げるということになり31度になったのですが、いろいろ検討が進んで、気象の研究者などもグループに入ってもらって勉強を進めてゆく中で、日本の研究者からどうしても梅雨の雨を測りたいという意見が出てきた。一方できるだけ傾斜角が低いほうが先ほど言いましたローカルタイム依存性をなくする、一日中のあらゆる時間に世界中の雨を測るという目的を早く達するわけで、その米国側の主張との間のコンプロマイズとして35度を選んだ。軌道傾斜角を35度にすると、観測域は地上でだいたい37度くらい、仙台の北のほうまでカバーするので、ほとんど梅雨が見えるということでこれに決めたわけであります。

[図 49]
この機会に少し話しておきたいのは、国際協力というのは格好よく聞こえるのですが、だけどそんなに楽な話ではない。

[図 50]
まず両国のシステムが全然違う。例えば予算年度、会計年度もちょうど一年の反対側にあるのです。それから宇宙への開発のステップも、アメリカの場合フェイズA、フェイズB、フェイズCアンドD、日本の場合は研究フェイズ、開発研究フェイズそれから開発フェイズと似たような形になっていますが、中身が全然違います。意味も違うし、日本の場合は、例えばここに認められると後は全部保証されるのですが、アメリカの場合必ずしもそうではないし、日本の場合ここからここへいくのに大変なバリアが大きいとか、見方が違うわけで、日米の間でなかなかお互いにそれが理解できなくて不信感が出たり、いろいろなことが起こります。その他も、いろいろなプロセスからカルチャーに至るまでどこも違うわけです。ただ、そういう中でやはり一緒にやってきた双方の個人的な信頼関係だけが役に立った。特に、苦しい時代は両方協力して努力するのですが、調子がよくなってゆきますと宇宙計画なんていうのは、ビッグプロジェクトですから、たくさんの人が関わってきてギクシャクが始まります。そういうのがいろいろありましたが、無事今日まで続けることができたことが成功の原因だったと思います。

[図 51]
このようにやってきて、振り返ってサイエンスといいますか、科学技術の観点から言いますと、最初のグローバルなスケールで雨を測ることができたということです。もう一つ日本として非常によかったのは、これが初めて研究者たちが提案して実現した宇宙プロジェクトであったということです。もう一つ、私は打ち上げられてからいつも若い人たちにこのデータを一所懸命使ってくれ、いい成果をだしてほしい、といつも言ってきたのですが、先週、岡本君がおられます大阪府立大学でTRMMの5周年のシンポジウムがありました。打ち上げ5周年ですね。随分成果が出ているのですが、やっぱり若い人たちが私の予想以上にこのデータをよく使って、信頼性のある降雨の結果だけではなしに、今までの考え方そのものも変えてゆくことが必要なことが、その中から見つけられている。今後のこの分野の研究の質が変わっていくほどの成果がいろいろ発表されて非常に嬉しく思っております。時間もないようですのでこの辺で終わりにいたします。







 
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