冷たい雨の中、東京都庭園美術館に付属するカフェ・デ・ザルチストには、大学生、研究者、会社員、ライターと職種も様々、また幅広い年齢層の方々、40余人が集い、熱気に包まれました。
専門用語で科学を語るのではなく、日常的な言葉と具体的なイメージで科学を語る、しかも、楽しく語ることができる場としてのカフェ・デ・サイエンス。この初めての試みは、三井モデレータが、「栴檀は双葉より芳し」の例に違わぬ堀田さんのエピソードを紹介するところから始まりました。
堀田さんは、小さい頃から好奇心旺盛で、しかも実行力があり、スピーカから人の声が聞こえてくるのは、中に人が居るからに違いないと、スピーカーをこじ開けて分解してしまうようなお子さんでした。そういう子供が、そのまま成人となり、新たな分野を開くことになった素晴らしい研究成果を上げられ、東大教授、国立遺伝学研究所所長を歴任された後、現在は、情報・システム研究機構長として、更に新たな挑戦をしておられます。
では、「脳をつくる遺伝と環境」をテーマにしたカフェ・デ・サイエンス、第1回目の模様をご紹介しましょう。
討論の詳細は、堀田凱樹/酒井邦嘉 著 中公新書 「遺伝子・脳・言語----サイエンス・カフェの愉しみ」 をご覧ください。
|
|
講師 |
|
堀田凱樹(ほった・よしき)氏
東京大学名誉教授、国立遺伝学研究所前所長、 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構長 |
堀田先生からの呼びかけメッセージ |
脳は動物種ごとに特徴的な構造と機能を持つことからも、遺伝情報の設計図に基づいて作られることは明らかであり、脳を作り出す遺伝子の研究は現代生物学の最先端である。一方で脳の機能はその環境の影響を受けて大きく変化する。学習や言語はその典型であろう。決定論的とも言える遺伝子が作る脳が、環境を柔軟に取り入れる非決定論的な機能
を持つというのはどういうことだろうか。勉強するとできるようになるのはなぜか?もっと学習すればいくらでも能力が高まるのか?
天才はなにが違うの? などなど、疑問のタネは尽きない。 話題提供者はショウジョウバエなどを研究材料として、脳の遺伝子機能の研究をしてきたが、その経験を踏まえて
「脳をつくる遺伝と環境」について考えてみたい。 |
|