The Takeda Foundation
サイエンスカフェの愉しみ


サイエンス・カフェの愉しみ
「サイエンス・カフェ」は、一般の人々が科学者と一緒に、日常的な言葉で考える貴重な機会だ。参加しながら、いつのまにか科学的に考える習慣が身についていたら素晴らしい。遺伝子研究の堀田氏と、脳研究の酒井氏を講師に催された「カフェ」を再現する本書は、市民と科学者の刺激的な交流の記録である。現代科学のビッグ・トピックである、遺伝子・脳・言語の最新研究をはじめ、興味尽きない身近な話題が続々と登場する。
出版社名 中公新書 (ISBN:978-4-12-101887-8)
発行年月 2007年3月
販売価格 本体 780円 + 税


目 次

ラジオ少年から脳の科学者へ
理科好きの少年  医学部と計算機  脳研究は電気生理学から  ショウジョウバエのアイデア  突然変異体のモザイク解析と発生運命予定図  神経分化のメカニズムを探る  DNAの次に来るもの  理論生物学への期待  情報・システム研究機構の目指すもの
第1回 脳を作る遺伝子と環境
脳は遺伝子だけで決まらない  遺伝子と環境  脳と喜怒哀楽  男女の違い  遺伝子はどう変わるか  英語習得と脳  色の感覚の不思議  倫理とサイエンス
第2回 脳はどのように言葉を生み出すか
ハエでだめならサルや人間で  バイリンガルをめぐって  言語と脳の設計  子守唄と「ら行」  左脳と右脳  イメージと言語  「脳言語」の能力と個人差  脳の男女差
第3回 手話の脳科学
手話は自然言語  手話の実例  国際手話とアメリカ手話  日本手話と日本語のバイリンガル  手話の丁寧な言い方  テレビの手話通訳  龍の子学園のろう児たち  手話習得のコツ  言語と遺伝子  日本手話と日本語の翻訳
第4回 双生児の脳科学
双子の研究  一卵性双生児の個人差  一遺伝子多型とDNAのメチル化  右利き左利き  利き手と利き脳  二人へのアンケート  二人の間でテレパシーは
第5回 脳とコンピューター
「脳」対「コンピューター」  人間の創造性とは何か  「捨てること」と「確立」  コンピューターの可能性  デルブリュックの名言  脳を研究するモデル  コンピューターと「心」  コンピューターにとっての環境  人間と区別がつかないコンピューター  複雑さと縮退  人間的なコンピューターは欲しくない?  人と機械が会話できるかどうか  現実に起きている問題
第6回 「分かる」とは何か
「分かる」と「悟る」  「分かる」と「分からない」の差  「自転車に乗れる」ことも「分かる」?  いろいろなレヴェルの「分かり方」  連鎖による「分かり方」  分かったかどうかの判断基準  予感の喜び、最初の発見  「分かる」ということの文脈  脳がつくり出す科学  物理科学の実験と理論  科学と教育  天才はつくれるか
後日談  
デルブリュックの教え  「面白い」ということ  奇人ベンザー  科学者の直感