The Takeda Award 理事長メッセージ 受賞者 選考理由書 授賞式 武田賞フォーラム
2002
受賞者
講演録
中村修二
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Q&A






中村修二
 
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そういうことで、アメリカに行ったのです。アメリカの10大学ぐらいからオファーがありまして。UCLAから最初にオファーがあったのですけが、住む環境と、自分の研究している専門で一番いいところということで、カリフォルニア大学のサンタバーバラ校にしました。それで、行ったら、以前の会社の悪口を言うわけじゃないんですが、私と大学を企業秘密漏洩の疑いがあるといって、訴えるとか言い出して、実際に2000年の12月に訴えられた。これで頭にきて、その一年後ぐらいに今度日本で私が、先程言った404特許の特許権の帰属とそれ相当の対価を求めて以前の会社を訴えているわけです。その企業秘密漏洩、アメリカで訴えられている分は、この10月10日に勝ったわけです。これ、大変なんですよ、みなさん!全然話がそれてるのですが、私が言いたいのはみなさんもベンチャーをやるために会社を辞めると、企業秘密漏洩で訴えられる可能性が強いのです。たとえば40才か50才ぐらいで辞めて、大学に行っても訴えられるのですからね。ベンチャーで、前の会社と同じような分野をやったら必ず訴えられるわけです。そういうことですと、自分で独立して会社をやることは不可能に近いんです。やっぱりこれは、大学生ぐらいの若い、天野先生みたいな若い人がベンチャーやるようなシステムにしないとダメだと思うのです。日本のそういうシステムは全然ダメなんで、なんとかそれを直してほしい。いろんなシステムが日本はダメだと思います。

現在アメリカで私が何をやっているかといいますと、やはりそのGaNを使いまして、天野先生がおっしゃったことと似たようなことをやっているんですが。いわゆるよく光る発光デバイス。さらには、私たちのところではSolid state lighting centerというのをやっておりまして、蛍光灯を置き換えるぐらいの明るさの白色照明を作る研究をやっています。現在の白色のLEDの効率は、電球の二倍ぐらいです。蛍光灯に比べるとまだ半分以下です。ですから、蛍光灯を置き換えるためにはさらに効率を上げないとダメです。それを力入れてやっています。それができますと、全ての光源を変えることが可能です。

それと、先ほど言いましたトランジスタです。アメリカはいわゆる電子デバイスの研究が非常に盛んで、軍が高出力・高周波デバイスにすごいお金を投資しています。それはものすごい金額です。企業とか大学に、年間五億円から十億円ぐらい出ています。日本では国が最近あまりGaN系にお金を出していないというので、日本は遅れるかもしれないですが。これは、やっぱり軍の需要という、理由があるわけです。たとえば、GaNで電子デバイスを作ると、非常に丈夫なものができるわけです。今、スペースシャトルで作っている宇宙ステーションの外にGaNで作ったトランジスタをむきだしのままでつけて動作試験をしています。そういうのはシリコンのトランジスタでは不可能です。GaAsでも不可能です。これはGaNだけです。非常に丈夫なトランジスタができるわけです。軍で非常に信頼性の高いものがいるからです。

それともう一つは、天野先生も一緒でしたが、紫外の発光デバイスをやっています。これはバイオテロ対策に使えます。アメリカでテロがあって大きいビルが二つ破壊されましたが、あれがあってから数ヵ月、すぐに軍が動きまして、バイオテロ対策のセンサを作れということです。炭疽菌とかですね、そういうのは紫外の発光デバイスでないとダメなので。紫外の発光デバイスは、現在材料から言いますと、GaN系がメインとなります。そういうことで、紫外の発光デバイスも現在かなり力を入れてやっています。

そんなことで、いろいろやっています。それと、私はアメリカの大学で教授をやっているので、学生を10人ぐらい雇っているのですが、むこうのドクターコースの学生は、日本の学生と全然違います。私は現在日本の学生のことは知しませんが、私の学生時代の日本の学生と比べまして、全然違います。ドクターコースの学生は非常に優秀です。彼らは、基本的に大手企業に行こうなんて誰も思ってないのです。ほとんどみんながベンチャー会社に行くか、自分でベンチャーを起こそうという、そういう心づもりで研究しているのです。しかも彼らは優秀です。日本は全員大手企業です。

私はよく言うのですが、やっぱり日本の大学生ってのは、自信がないんです。小さい頃から大学受験責めで、小学校までは夢があるのですが、小学校以降は大学受験、大学受験です。で、大学受験が夢になりまして、大学入った瞬間に夢が終わってしまって、あとは大学では適当に遊んで卒業するのです。卒業するときに自信がないので、安定した大手企業、公務員指向になるのです。ですからこういうことで大手企業行ったら、みなさんご存知のように、永遠のサラリーマンです。私はよく言うのですが、大手企業に行ったらどんなに頑張っても永遠のサラリーマンですよね。部長や所長になったって知れてますよね。これはやっぱりアメリカみたいにベンチャー会社をやって、アメリカンドリームができるような、そういうシステムにしないとダメです。


 
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