The Takeda Award 理事長メッセージ 受賞者 選考理由書 授賞式 武田賞フォーラム
2002

受賞者

情報・電子系応用分野
赤崎 勇
天野 浩
中村修二

生命系応用分野
スティーブン・P・A・フォダー
パトリック・O・ブラウン

環境系応用分野
チャールズ・エラチ
畚野信義
岡本謙一





理事長武田郁夫から武田賞を受け取るスティーブン・P・A・フォダー氏。

ありがとうございます。本日ここに招かれ、この名誉ある賞をお受けすることができ、たいへん光栄に思っております。武田理事長そして武田計測先端知財団の方々に心から感謝申し上げますとともに、誇りをもってこの賞をDr. Brownおよびアフィメトリクス社の我が同僚たちと分かちあいたいと思います。

1980年代の後半には、ヒトゲノム塩基配列を解読しようという計画は、まだ始まったばかりで、私たちはヒトゲノムの情報記憶装置として使用できる技術をどうしたら生み出せるかと思案したものでした。そして今、このDNAマイクロアレイの分野を振り返ってみますと、この技術がいかに迅速に発展し、導入されてきたかということに、本当に驚かされます。真実を正しくお話するために、1990年の中ごろへさかのぼりましょう。そのころまだ科学者は、ヒトゲノムの遺伝子を一つずつ調べていました。実際、DNAマイクロアレイ技術の発展により、科学者は今では数千の遺伝子を同時に調べることができます。

そしてまたひるがえって、武田賞の精神と人類の進歩のための新技術の発展について考えるとき、1990年代中ごろの早い時期には、私はいろいろな工業界のいろいろな人から、どうして数千もの遺伝子を同時に見る必要があるのかと始終質問されていたという事実を思い起こします。その当時は、こうした技術に対する明らかな商業的需要はありませんでした。しかし、アフィメトリクス社での私たちの努力によって、そしてまたこの場にいるPat Brownのような人々の努力によって、この技術は成功し、結果として私たちはこの技術の開発を続け、業界を発展させ、そしてそれが今日花開いたわけです。今日、この技術は製薬業界で広く使われており、また分子レベルでの生命の解明にも使われています。近いうちに、この技術が人の健康のために、がんの診断や人々に高い利益をもたらすがん治療の処置を選択するために使われると信じています。しかし私たちはゲノムの解析について、まだ端緒についたばかりであり、ゲノムの膨大な情報の内容を解き明かし始めたばかりなのです。私たちは最近、ヒトの多様性の基本的なパターンの観察を始めるための研究をPerlegen Sciences社と共同で行いました。そしてやはりわれわれヒトは、ひそかに思っていたとおり、互いによく似ているという認識を強めるようになってきました。それにしてもDNAマイクロアレイ技術が開発されてから10年しか経っていないのに、それが演じている重要な役割を知ることは、たいへん嬉しいことです。

最後に、武田計測先端知財団のご好意と助力に感謝し、科学的発見における新天地の開拓に期待いたします。

 
 


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