ただ今、この大きな武田賞をいただき、まことに光栄に存じます。
まず人類に豊かさと幸福をもたらす工学知の創造と、その活用への貢献を顕彰する本賞を、私財をもって創設されました武田郁夫理事長のご英断に深く敬意を表したいと思います。また、私を本賞にご推薦くださいました方々、私どもをお選びいただきました垂井康夫委員長はじめ選考委員会の先生方、そして何かとお世話になっております財団関係者の方々に厚く御礼申し上げます。
私は1960年代の終わり頃から多くの人が断念する中、窒化ガリウム系半導体によるpn接合型青色発光デバイスを実現するという志を立てまして、自らの体験を通して、1979年結晶成長法としてMOCVDを選び、その後名古屋大学に移りました。
そこで本日の共同受賞者の天野浩さんを始めとする多くの優れた共同研究者との協力の下で、従来に比べて格段に高品質の結晶の成長と、それを基に伝導性制御ということ、さらにpn接合型青色発光デバイスの実現など、ブレイクスルーを成し遂げることができました。
窒化ガリウム系半導体は環境に優しく、また発光デバイスのほかにも次世代に必須とされる非常に高機能の光デバイスや電子デバイスの実現にも極めて有効でございます。
本日のこの受賞を励みに、さらに研鑚を続ける所存でございます。
本日この立派な賞をいただきましたが、これは私が思う存分仕事ができるようすばらしい環境を整えてくださいました名古屋大学、名城大学の先輩、同僚、そして後輩の先生方、それとすばらしいたくさんの共同研究者たち、私の研究室を巣立っていった学生諸君、そして源流を辿れば私が松下電器在職時代に、はじめは一人でやっていた私に協力して、私の窒化ガリウムに対するポテンシャルに対する確信を不動のものにする状況を作ってくれた仲間たち、これらの方々の絶大なご支援がなければ、到底本日の受賞はなかったのでございます。
改めて心からお礼を申し上げます。最後に本財団の創設者武田理事長様のご健康と、本財団のますますのご発展を祈念してお礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。
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