設立趣意書 Prospectus
電子工学の発展により生み出される電子計測技術の活用は、高性能な電子機器の信頼性の確保を可能とし、これらの電子機器の提供と利用を通じて、人類に豊かさと幸福をもたらしてきました。このような電子計測技術は、その性質上、各種電子機器に搭載される電子技術以上に精xと性能が要求されることが多く、今までに電子技術の高度化をもたらすとともに、電子技術の高度化が新しい電子計測技術を生み出してきており、電子計測技術と電子技術は相互に高め合いながら発展しております。例えば、超LSIテスタが半導体技術を向上させ、また、半導体技術の高度化が次世代の超LSIテスタを生み出しております。
すなわち、電子技術の高度化をもたらす先端的な電子計測技術及び新しい電子計測技術を生み出す先端的な電子技術(以下「計測先端知」という。)の創造とその活用が高度情報化社会に大きく貢献してきております。特に、近年、調和のとれた社会の実現を目指す中で、主要な情報・電子系、生命系、環境系の三つの応用分野において、計測先端知はその役割をますます増大させております。
このような三つの応用分野における計測先端知をさらに発展向上させていくためには、計測先端知に携わる人材や関連研究テーマの発掘が最も重要な課題であります。このため、これまで底辺を支える技術として脚光を浴びることが少なく、実用化のアイデアを持ちながらも研究資金の不足などにより継続的な研究が困難であった電子計測技術に携わる研究開発者や関連研究テーマについて支援を行うとともに、また、新しい電子計測技術を生み出す先端的な電子技術についても同様に支援を行う必要があります。
この中で、計測先端知の創造とその活用の先駆者であり、タケダ理研工業株式会社(現、株式会社アドバンテスト)の創業者でもある武田郁夫は、計測先端知に係る人材育成などの重要性に鑑み、この事業運用のための資金提供を申し出ております。
このような状況を踏まえ、情報・電子系、生命系、環境系の三つの応用分野において、計測先端知の創造とその活用に顕著な業績をあげた研究開発者に対して顕彰を行うとともに、計測先端知の創造とその活用に貢献が期待できる研究テーマ及び研究開発者に対して助成を行うことなどにより、計測先端知の振興を図り、もって国際社会の健全な発展と人類の豊かさと幸福に寄与することを目的として、「財団法人武田計測先端知財団」を設立しようとするものであります。
平成13年3月9日
設立者一同