The Takeda Foundation
年度計画・報告

事業報告書 会計資料 トップへ


平成15年度事業報告書
(平成15年4月1日〜平成16年3月31日)

1. 概況

  平成15年度は、武田賞、武田研究奨励賞を実施する方向で事業を開始しましたが、景気低迷の影響で 財団原資となるアドバンテストの株価が低迷したため、平成15年6月23日に理事会で顕彰助成事業を休止し、調査 ・普及事業にシフトする事業計画に修正しました。また、事業計画修正に伴い、財団事務所を聖路加タワー32階 より31階に移転し、1/3に縮小しました。

  顕彰・助成事業
(1) 武田賞
  平成15年度の武田賞は、第二次選考まで実施し、その後の選考活動を休止しました。
(2) 武田研究奨励賞
  平成15年度の武田研究奨励賞は、セッションテーマ名と座長を決めた段階で、選考活動を休止しました。
(3) 武田奨学賞
  武田奨学賞は、平成13年度、14年度採用分は継続とし、平成15年度の新規募集を休止しました。

調査事業
(1) 事例調査
  調査事業では、生活者の豊かさ・幸せに貢献したイノベーションについて成功の内部要因、外部環境を 解析した事例を社会に提供すること及び財団プログラムオフィサーの業績を見る目を養うことを目的に事例調査を実施 しました。調査の中間結果を平成15年12月2日に、産業技術総合研究所、日経BP社、及び当財団の共同開催による研究 経営ワークショップで発表しました。
(2) 座談会
  財団理念の深化を図るため識者による座談会を開催し、イノベーションについての考え方、社会に貢献す る科学・技術のあり方等について議論していただきました。座談会の結果を財団ホームページに掲載中です。

普及事業
(1) 武田シンポジウム
  革新技術の事業化により、生活者の富が増大することを実例でもって訴えることを目的に、国内シンポジ ウムを開催しました。
(2) 広報・出版
  座談会、事例調査を発表した研究経営ワークショップ、及び武田シンポジウムの講演結果等を掲載した ホームページの更新を行いました。また、事例調査の結果については出版を計画中です。

事務局関係
  修正事業計画に従って平成15年7月以降の事業活動を縮小する一環として、賃貸家賃削減を目的に財団事 務所を聖路加タワー32階より31階に移転しました。事務所スペースを1/3に縮小したことで、毎月183万円程度の賃料 ・共益費の節減になりました。平成15年7月以降は、清掃の外注を廃止し、清掃を職員が行うことにより毎月8万円 の経費を削減しました。
また、固定資産の除却による固定資産税の節減及びリース契約の解除により、経費を削減しました。


2. 活動報告

◎ 顕彰・助成事業
(1) 武田賞
  武田賞の選考は1次、2次選考まで終了し、情報・電子応用系分野2件、生命系応用分野2件、環境系応用 分野2件を絞り込みました。

ノミネーション依頼
  2002年12月末にノミネーション依頼状を発送。
継続 新規
国内 405名 200名 607名
海外 508名 262名 770名
(合計) 1377名
  ノミネーション依頼状では、今年度は、生活者にとっての価値を実現した業績をノミネーションして 欲しい点を強調しました。

  ノミネーション数
情報・電子系応用分野 70
生命系応用分野 67
環境系応用分野 55
(合計) 192

1次選考、2次選考
  6月までに、各応用分野で数回のアドホックミーティングとインターネット上での投票を行い、応用 分野毎に2件、計6件の候補業績と候補者を選考しました。6月23日の理事会で武田賞の休止が決定されたため、 6月27日までにプログラムオフィサーが作成した選考理由書案をもって、2003年の武田賞選考を中止しました。

(2) 武田研究奨励賞
  武田研究奨励賞は、セッションテーマ名の募集をし、応用分野毎に1件のセッション名と座長を決めた 段階で、平成15年度の選考を中止しました。

  2月にセッションテーマ名募集を行いました。これに対しては、以下のような応募がありました。
情報・電子系応用分野 30
生命系応用分野 32
環境系応用分野 37
  複数分野にまたがる提案もあったため、応募総数は82件でした。

(3) 武田奨学賞
  武田奨学賞は、平成15年度の新規募集を行わず、継続分の7名の若手優秀研究員賞のみ実施しました。 平成15年6月から1名の辞退があり、6名に奨学金を交付しています。

◎ 調査事業
(1) 事例調査
  液晶、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)、DNAチップ、リナックス、緑の革命、情報・電子系アン トレプレナー列伝、バイオ系アントレプレナー(林原健)について調査を実施しました。平成15年8月から、液晶、SOI、 DNAチップ、及びリナックスの事例調査を産業技術総合研究所から受託し、関係者のインタビューを含む調査を行いま した。中間結果については、平成15年12月2日に、産業技術総合研究所、日経BP社、及び当財団の共同開催による研究 経営ワークショップで当財団と日経BP担当者が発表しました。なお、平成16年2月末日までに、産業技術総合研究所か ら委託された事例についての報告書4件を産業技術総合研究所に提出しました。なお、受託した事例を含め、事例調査 について当財団のプロシーディングに発表することにしており、産業技術総合研究所からは了承を得ています。

  情報・電子系応用分野におけるアントレプレナー列伝は国内企業家編として調査を実施しました。武田 賞選考とは異なり、選択を容易にするため範囲を絞って(アントレプレナー精神にまで拡大しないで狭義のアントレ プレナーであるかどうかで)候補者を選択しました。すなわち、最初に技術的なものを含むアイデアを持っていて、 それを実行し、自分を含む企業で相当な収益をえたことを選択基準としました。また、読み物としても興味をもたれ るような書き方にしました。調査対象は、中村修二(青色発光ダイオード・半導体レーザの実用化)、久夛良木健 (プレイステーション市場の創出)、飯島朝雄(新しい電子回路基板技術の開発により(株)ノースの上場を実現)、 飯塚哲哉(東芝を飛び出し、液晶ドライバで世界を席捲)、杉山尚志(NEC技術部長の職をなげうって独立、画像処理 ICを武器に4年で上場)、舛岡富士雄(独自技術へのこだわりとユーザー指向が生み出したフラッシュメモリ)、 進藤晶弘(半導体ファブレス・ベンチャーの先駆けとして(株)メガチップスを創業し、上場を果たす)、篠田傳 (カラープラズマディスプレーを実現したアントレプレナー)、高須賀宣(日本生まれのオフィスソフトウェアを成功 させた男)、荒川亨(情報家電の基本ソフトで世界と勝負)の各氏です。

(2) 座談会
  平成15年8月5日、産業技術総合研究所吉川弘之理事長、当財団理事西村吉雄先生による座談会「生活者 にとっての価値を実現する研究開発」を開催しました。議事録を財団ホームページに掲載中です。

◎ 普及事業
(1) 武田シンポジウム
  メイン・テーマとして、「生活者の豊かさに貢献する科学技術−技術者と研究者の役割−」を掲げ、 平成16年2月7日、東京大学武田先端知ビル武田ホールで武田シンポジウムを開催しました。産業技術総合研究所 吉川弘之理事長が「科学技術者の役割」、東京大学大学院坂村健教授が「どこでもコンピュータへの道−TRONに よりコンピュータは生活者に近くなる −」、タカラバイオ加藤郁之進社長が「世界に羽ばたけ日本のバイオ」と題 して講演しました。約350名の出席者があり、そのうち230名近くからアンケートを回収しました。アンケートでは、 講演が面白かったという感想が数多く見られました。

(2) 広報・出版
@ 財団ホームページ更新
座談会、研究経営ワークショップ(産業技術総合研究所、日経BP、武田計測先端知財団共催)、及び武田シンポジウム の講演結果等を掲載したホームページの更新を行いました。
A 出版
2002年武田賞受賞者の感想、2003年調査事業及び普及事業概要を掲載した Proceedings(第3号)を発行すべく準備を 完了しました。Proceeding Vol.3は、平成16年度事業として発行する予定です。なお、情報・電子系応用分野で実施 した「アントレプレナー列伝」は単行本として、出版を計画しています。

◎ 事務局報告
▼評議員会・理事会・幹部会関係
(1) 第9回理事会開催(平成15年4月1日〜7日)
於:書面開催
議案1)「理事長、専務理事、常任理事の互選について承認を求める件」
(2) 第10回理事会・第7回評議員会開催(平成15年5月27日)
於:財団役員会議室
議案1)「平成14年度事業報告・収支計算書について承認を求める件」
(3) 幹部会(平成15年5月27日)
於:財団役員会議室
議案1)「平成15年度の事業計画の修正について」
(4) 第11回理事会(平成15年6月23日)
第8回評議員会開催(平成15年6月27日〜7月4日)
於:財団役員会議室(理事会)及び書面開催(評議員会)
議案1)「平成15年度事業費用寄付金の受領について承認を求める件」
議案2)「平成15年度事業計画及び収支予算の修正の承認を求める件」
議案3)「職員退職金規程(案)の承認を求める件」
(5) 幹部会開催(平成16年3月12日)
於:東京新阪急ホテル(明石)
議案1)「産総研からの調査委託の受託及び平成15年度受託分の承認を求める件」
議案2)「平成15年度事業報告(案)について」
議案3)「平成15年度収支予算修正(案)の承認を求める件」
議案4)「平成16年度事業計画及び収支予算(案)の承認を求める件」
(6) 第12回理事会(平成16年3月25日〜3月31日)
第9回評議員会(平成16年3月17日〜3月24日)
於:書面開催
議案1)「産総研からの調査委託の受託及び平成15年度受託分の承認を求める件」
議案2) 「平成15年度事業報告(案)について」
議案3)「平成15年度収支予算修正(案)の承認を求める件」
議案4)「平成16年度事業計画及び収支予算(案)の承認を求める件」について承認を求める件」
▼労務関連
(7) 安全衛生
1) 法定総合防災訓練実施
(平成15年5月28日、平成15年10月21日)
於:聖路加タワー全体 協力実施機関:京橋消防署
訓練内容:@防火管理者を中心にした自衛消防組織の編成
        A避難階段を使用しての避難訓練と防災用具展の見学
                   参加率 在室者の100%
2) 成人病検診実施 受診機関:中央みなとクリニック 受診率83% 
3) 京橋消防署主催の「自衛消防隊訓練審査会」への参加
        (平成15年10月17日)受講:防火管理者
4) 「防火対象物点検報告特例認定制度の申請」及び防火管理維持台帳の設置
▼経理関連
(8) 内部監査・国税監査
〔内部監査〕
1) 期中監査実施(平成15年7月30日・平成15年12月24日)
2) 実査(平成16年4月5日)平成15年度3月末の現預金実査
3) 期末監査実施(平成16年4月29日)
監査の結果、決算事項が承認されました。
新日本監査法人 花田代表他、公認会計士・会計士補(1〜3名)
財団立会者:赤城専務理事・安部
 
〔国税監査〕
1) 京橋税務署・法人課税課による「源泉所得税調査」
(平成16年2月12日〜13日)
監査担当:法人課税第5部門 上席国税調査官 丸山 豊 1名
=国税監査結果=
源泉課税の説明を受けた後、修正の申告事項は、無しということで終了しました。
▼総務関連
(9) 財団事務所移転の実施(平成15年9月下旬)
平成15年7月以降の事業活動縮小に伴い、賃貸家賃削減を目的とした事務所移転を実施 しました。
移転による経費の削減効果:旧事務所の敷金及び家賃を原資として、新事務所の平成18年3月まで の賃料及び共益費、移転時の現状復旧工事・新事務所の工事費用に充当して支払うことにしました。
@旧事務所賃料・共益費/月=2,846,844(賃料2,108,902+共益費737,942)/月
A新事務所賃料・共益費/月=1,013,519(賃料750,801+共益費262,718)/月
@Aの比較から分かるように、事務所スペースを1/3に縮小することで、毎月183万円程度の賃料 ・共益費の節減を実行できました。
平成15年7月以降は、清掃の外注を廃止し、清掃を職員が行うことにより毎月8万円の経費を削減 しました。
また、固定資産の除却による固定資産税の節減及びリース契約の解除により、経費を削減しました。
(10) 外部主催講習会等の参加実績
1) 給与保険料率更新についての会計ソフト取扱説明会参加
平成15年4月8日
2) 公益法人抜本改革についての有識者会議中間整理に関する緊急報告会
平成15年4月12日
講師:石川 睦夫(住友財団専務理事)
3) 保険料の年度更新事務説明会 平成15年4月18日
4) 助成財団センター情報交換会 平成15年4月23日
5) 私傷病者の人事対策と法的留意点
講師:岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
6) 公益法人改革調査についての研修会・懇親会 平成15年7月4日
講師:小山 裕 (内閣官房行政改革推進事務局 行政委託公益法人改革推進室長)
7) 公益法人制度抜本改革基本方針の問題点   平成15年7月30日
講師:雨宮 孝子 (松蔭女子大学経営文化科学部教授)
8) 日興公益法人セミナー 平成15年9月10日
講師:若松 謙維(総務副大臣)他
9) これからの研究助成を考える-学術をめぐる動向と日本学術振興会
平成15年10月1日
講師:宮島 和男(日本学術振興会 研究事業部長)
 
以 上



Last modified 2005.5.10   Copyright(c)2005 The Takeda Foundation. The Official Web Site of The Takeda Foundation.