DNA研究のあゆみ年表
  松原謙一「分子生物科学T」(岩波書店 1985)より抜粋

1869 DNAの単離 Miescher
1940 ファージグループによる大腸菌ファージの研究開始 Delbruck, Luriaら
1944 DNAによる形質転換の発見(肺炎双球菌) Averyら
1953 DNAの二重らせんモデル(B型) Watson, Click
1956 DNAポリメラーゼの発見 Kornbergら
1960 X線結晶解析によるミオグロビンの構造決定 Kendrewら
1961 核酸の水素結合対の変性・再生 Marmur, Doty
オペロン説(遺伝子発現の調節機構に関する研究始まる) Jacob, Monod
トリプレットコドンの証明 Click, Barnet, Brenner, W-Tobin
1963 誘導変異の研究 Freeseら
1964 遺伝子上のヌクレオチドの並びとアミノ酸配列がコ・リニアーであることを証明 Yanofskyら
1965 ニトロソグアニジンによる大腸菌の変異誘導(強力な変異誘起剤は微生物遺伝学の進歩を促した) Aderberg
コドンの解読完了(普遍コドンという概念) Nirenberg, Ochoa, Khoranaら
DNA・ RNAのハイブリッド形成(溶液) Gillespie, Spigelman
1970 大腸菌のトランスフェクション(塩化カルシウム法を用いてファージDNAを導入。その後、プラスミドDNAにも応用されるようになった。 Mandel, Higa
逆転写酵素の発見 Temin, Baltimoreら
1972 DNAの化学合成(アラニンtRNA遺伝子)試験管内組換えDNA分子の作製 Khoranaら
1974 異種DNA(カエルrDNA)を大腸菌の中でふやす(組換えDNA実験法の確立) Cohen, Boyerら
1975 SangerによるDNAの塩基配列決定法 Sanger
1976 IL2依存性細胞増殖、分化誘導など血液細胞の分化・増殖の調節が可能になる Morganら
cDNAライブラリー作製始まる(最初は酵母ゲノム) Clarke, Carbon
異種遺伝子を大腸菌の中で発現させる(ヒト成長ホルモン) Goodmanら
1977 リン酸カルシウム法による動物細胞のトランスフォーメーション Wigler, Axelら
Φx174の全ゲノムの塩基配列決定(この中から重複遺伝子の存在がみつかった) Sangerら
1978 大腸菌を用いたインシュリンの生産 Goeddelら
1980 受精卵へのDNA微注入(最初のトランスジェニックマウスの作出) Gordonら
1981 ヒトがん活性型遺伝子の検出(がん細胞由来のDNAで3T3細胞をトランスフォーム(形質転換)できることを発見) Weinberg, Cooper, Wigler
1982 塩基配列のデータベース作製始まる(EMBL 、GenBank)  
神経細胞表面レセプターのクローニング始まる Numaら
c-ras遺伝子にある1アミノ酸置換がトランスフォーミング能と関連することを証明 Barbacidら
1983 ハンチントン舞踏病の原因遺伝子研究に多型マーカーを活用(難病研究の新しい研究方法論を確立) Gusella, Wexlerら
ハエ形態形成遺伝子郡の分子生物学的解析始まる Gehring, Hognessら
1984 アミノ酸配列のデータベースを統一化(NBRF-PIR) Gallo, Montagnierら
1985 ヒトの多型マーカーの発見と利用が広まる Jeffrey, White, Botstein, Nakamuraら
1987 大腸菌ゲノムの整列クローンの作成 Obaraら
1988 ポリメラーゼチェイン反応 Saikiら