The Takeda Award 理事長メッセージ 受賞者 選考理由書 授賞式 武田賞フォーラム
2001

受賞者

情報・電子系応用分野
坂村 健
リチャード・M・ストールマン
リーナス・トーバルズ

生命系応用分野
マイケル・W・ハンカピラ−
J・クレイグ・ベンター

環境系応用分野
フリードリッヒ・シュミット・ブレーク
エルンスト・U・フォン・ワイツゼッカー





理事長武田郁夫から武田賞を受け取る坂村健氏。

ただいまご紹介を賜りました東京大学の坂村でございます。

本日、2001年度武田賞の授賞式にあたり、武田理事長さん初め、役員の皆様方、また各界ご来賓の皆様方のご臨席のもとに栄えある第1回の本賞を賜りましたことを私にとりまして、誠に名誉なことであり、改めて関係の皆様方にお礼を申し上げる次第でございます。

私は20年間にわたり、TRONという組み込み型のリアルタイム・オペレーティングシステムの研究を続けてまいりました。この組み込み型のリアルタイム・システム、TRONは現在では携帯電話を初めとして、車のエンジン制御、ファクシミリ、デジタルカメラなどいろいろな分野で社会を支えるものに育ってきていると確信しております。

しかしコンピュータの世界の中では、一言でいいますと、あまり派手ではない。パソコンやワーク・ステーションの派手さがない分野でありまして、このような地道な研究にスポットライトを当てていただけたことを、私はこの種の下積みの技術者の、下を支えているエンジニアを代表して、大変素直にうれしく思い、感謝する次第でございます。

私の研究を進めている分野ではユビキタス・コンピュータといって、社会のいろんなところにコンピュータをどんどん使っていくというような、そのような分野なんですが、もちろん携帯電話で自分がどこにいるのかというようなことの情報が、誰かに把握されてしまうのではないかといった、プライバシー上の問題も含めまして、今後も様々な研究をしなければいけない問題があると思っております。

しかし、よくも悪くも生活環境のコンピュータ化が進むことは止めることはできません。だからこそ成り行きに任せるのではなくて、望ましい方向に私たちの社会を導く方向の研究を続けていく、そのような努力を続けていかなければいけないというふうに思いを新たにしております。今後とも次世代の望ましいコンピュータの環境の確立のために、今回の受賞に恥じぬように努力を継続していくことを心新たにしております。

またそうした工学知に対する努力を評価し、奨励し続けることで、武田賞が新世紀への貴重な貢献をされることを信じております。

ご臨席の皆様方には今後ともご指導・ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、お礼の言葉とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

 
 


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