年度計画・報告  Annual Report


一般財団法人 武田計測先端知財団 平成25年度事業報告

(平成25年4月1日から平成26年3月31日まで)


1. 顕彰事業

継続事業1 研究開発者顕彰事業

継続事業3の若い研究者の調査と連携して事業を行い、最優秀賞の賞金は研究開発者顕彰事業として授与した。


2. 助成事業

継続事業2 奨学金の給付

継続事業3の若い研究者の調査と連携して事業を行い、優秀賞の賞金は助成事業の奨学金として給付した。


3. 調査事業

継続事業3 先端科学技術等の調査事業

3.1. アントレプレナーの調査

ヤング武田賞

現実の課題を直視しそれを解決しようとする活動と、人々の役に立つ何かを生み出そうとする若い研究者の調査を行った。その調査結果に基づいて継続事業1の研究開発者顕彰事業と継続事業2の奨学金の給付を行った。日本および世界の40歳未満の研究者を対象とした。

6月4日から財団ホームページで若い研究者からの提案募集を開始し8月末で募集を締め切った。武田財団のメールリストに加え、アジアの国際政策対話の参加者やJICAのアジア現地事務所などにも案内メールを送った。14カ国から49名の応募があった。

調査は財団POと財団が委嘱した選考委員会(委員長浅田邦博、東京大学大規模集積システム設計教育センター長、教授)が行った。第1回選考委員会で応募条件を満足しているかを判断し、第2回選考委員会で選考委員が推薦した11件の中から、最終選考に残す6件を選考した。最終選考委員会ではビデオ会議で最終選考に残った6件の提案者が提案プロジェクトについてプレゼンテーションを行い、それに対して質疑応答をした上で最優秀賞などを選考した。その結果、受賞者は以下のとおりとなった。

最優秀賞(賞金100万円は継続事業1の研究開発者顕彰事業として授与した。)

- 萬代新悟 (デルフト工科大学、オランダ)「新しい構造の半導体単光子検出器の開発」

優秀賞・選考委員会特別賞(賞金優秀賞20万円は継続事業2の奨学金として給付した。選考委員会特別賞50万円)

- Ajit Narayanan (インベンション・ラボ社、インド)「言語障害児のための人工会話器Avazの開発」

優秀賞(賞金各20万円は、継続事業2の奨学金として給付した。)

- Abdul Matin Sheikh (Maheen) (NGO Bac Bon、バングラデシュ)「バングラデシュにおける遠隔教育(e-Education)」

- Lim Jit Kang (マレーシア科学大学、マレーシア)「磁場を利用した微細藻類除去」

- Nguyen Duy Vinh (ハノイ科学技術大学、ベトナム) 「ベトナムにおけるオートバイ用両用燃料システム開発」

- 竹井悠人 (東京大学、日本)「スケジューリング自動調整ソフト、タイムメーカーの開発」

12月10日に財団ホームページに選考結果を掲載するとともにプレスリリースをメディア各社に配布し、ヤング武田賞の受賞者発表を行った。

2月7日に政策研究大学院大学で受賞者によるワークショップを開催した。2月8日の武田シンポジウムの冒頭に授賞式を行った。受賞者6名のうちAbdul Matin Sheikh (バングラデシュ)を除く5名が参加した。参加できなかったAbdul Matin Sheikh (バングラデシュ)にたいしては3月4日に財団事務所で別途賞金を授与した。

3.2. 科学技術の国際連携戦略研究会

科学技術振興機構の「科学技術外交の展開に資する国際政策対話の促進プログラム」に応募したが、採択されなかった。独自事業として連絡会は継続して行った。また、平成24年度の国際政策対話での議論のフォローアップとしてタイ国家科学技術研究所(TISTR)と共催で11月18日にバイオマス・オープンイノベーション・フォーラムをバンコクで開催した。大戸専務理事と松見委員が参加した。

3.3. TTM(Takeda Tea Meeting)

毎週財団スタッフによるミーティングを開催した。財団スタッフが関心を持ったテーマについて説明し、討論を行った。また、武田シンポジウムのテーマ設定のための議論もこのミーティングで行った。平成25年度のテーマは添付資料参照。


4. 普及事業Ⅰ

継続事業4 武田シンポジウム等のシンポジウムや講演会の企画・実施・内容の公開事業

4.1 武田シンポジウム2014の開催

2014年2月8日に先端知ビル武田ホールで開催した。全体テーマは「人間とは何か」とし、榊佳之豊橋技術科学大学学長、新井紀子国立情報学研究所情報社会相関研究系教授、山極寿一京都大学大学院理学研究科生物科学専攻動物学教室人類進化論研究室教授に講師をお願いした。武田シンポジウムの冒頭の30分を使ってヤング武田賞の表彰式を行った。

参加申し込みは408名だった。20年に一度と言われる大雪で開催が危ぶまれたが、3人の講師にも雪をおして来て頂き、137名の参加者で開催できた。

参加できなかった人が多いことを考慮し、欠席連絡を頂いた45名の方には予稿集と昨年のシンポジウムの内容をもとにした東京化学同人社出版の本を送った。それ以外の欠席者のうち希望者約160名にも同じものを送った。

4.2. 武田シンポジウム2013の内容の出版

武田シンポジウム2013の内容をもとにした書籍『宇宙から細胞まで 最先端研究の現状と将来』を『科学のとびら』シリーズの第54巻として東京化学同人社から11月に出版した。

5. 普及事業Ⅱ

継続事業5 サイエンスカフェの企画・開催・内容の公開事業

5.1. カフェ・デ・サイエンス

織田幸孝さん(東京大学大学院数理科学研究科教授)をゲストに「生活空間の数学」をテーマにして、5月20日に第3回「ゲノム解析に統計学はどのように使われるか」、7月22日に第4回「鉄と数学との係わり」、10月7日に第5回「気象と数理モデリング」、12月9日に第6回「感性から悟性に至る道を探る」を開催した。その後近藤和雄さん(お茶の水大学大学院教授)をゲストに「医学と栄養と健康と」をテーマに2月24日に第1回「身体の中のコレステロール」を開催した。このテーマから、これまでモデレーターを務めた三井に加えて鈴木美慧がモデレーターとなって開催した。

5.2.ウィークエンド・カフェ・デ・サイエンス

科学博物館のサイエンスコミュニケータ養成講座修了生の有志を中心として財団と共催で開催している。財団は、運営資金の提供と毎月の定例会での議論への参加を主な支援として行なっている。平成25年度はウィークエンド・カフェ・デ・サイエンスを8回開催した。


6. 調査事業Ⅱ

「科学技術振興機構の科学技術外交の展開に資する国際政策対話の促進プログラム」には採択されなかったので、平成25年度の調査事業Ⅱは行わず、国際政策対話の事業は調査事業として実施した。


7.広報関係

ヤング武田賞の募集と選考結果、武田シンポジウムの参加者募集、カフェ・デ・サイエンスの参加者募集、討論内容、などを財団ホームページに随時掲載した。


8. 総務関係

和田公認会計士事務所と業務委託契約を結んだ。


9. 事務所の移転

4月に東京大学武田先端知ビルに財団事務所を移転した。オフィス面積が減少したため、スタッフのパソコンをデスクトップパソコンからノートパソコンに変更した。


10. 寄付金

武田珠子様より1000万円、エー・アンド・デイ社から1000万円のご寄付を頂いた。


11. 公益目的支出計画の実施報告

平成24年度の事業報告と決算に基づいて平成24年度の公益目的支出計画実施報告書を公益認定等委員会に提出した。平成24年度末の公益目的財産残額は、83,198,043円となった。

平成25年度については、事業報告と決算に基づいて実施報告を行う。当初の計画と実施結果の金額の差異については以下のように説明する。

 平成25年度計画平成25年度実績実績-計画理由
公益目的財産額¥221,616,593¥221,616,593  
公益目的収支差額の見込み¥200,987,740¥168,383,714-¥32,604,026 
公益目的財産残額の見込み¥20,268,853¥53,232,879¥32,964,026 
公益目的支出の額の見込み¥40,197,548\29,965164-¥10,232,384一般財団法人移行が平成21年12月1日であったので初年度が4ヶ月しかなかったことと、平成24年度から個人事業者への委託費支払いが減少したことなどにより、公益目的支出計画の実施期間の変更申請を検討している。
継1 研究開発者顕彰事業¥1,180,948¥1,250,000¥69,052ほぼ計画通り事業を行った。
継2 奨学金の給付¥1,154,448¥1,030,000-¥124,448ほぼ計画通り事業を行った。
継3 先端科学技術等の調査事業¥16,715,603¥11,862,872-¥4,852,731個人事業者への委託費の支払いなどが減少したなどのため、支出の額は見通しを下回った。
継4 武田シンポジウム等のシンポジウムや講演会の企画・実施・内容の公開事業¥9,231,466¥6,480,599-¥2,750,867個人事業者への委託費の支払いなどが減少したなどのため、支出の額は見通しを下回った。
継5 サイエンスカフェの企画・開催・内容の公開事業¥3,835,690¥2,707644-¥1,128046個人事業者への委託費の支払いなどが減少したなどのため、支出の額は見通しを下回った。
事業共通費¥8,079,393¥6,634049-¥1,445,344



添付資料 TTMテーマ一覧

月日担当タイトル人数
2013年
4月18日
鴨志田人工光合成10
4月23日禿卑弥呼の謎を追って10
5月7日鈴木美慧(お茶大修士)これからの情報伝達のあり方13
5月14日赤城入院体験記10
5月21日三井バイオ燃料の光と影10
5月28日Rehana Afrin(東工大)バングラデシュについて13
6月4日倉又茂(三省堂)新指導要領の理科教科書「科学と人間生活」及び「基礎生物+生物」の内容10
6月11日工藤一郎(富士重工スバルフォレスタ開発責任者)イバイオマス関連15
6月18日大戸アジアにおける地域主義の歴史9
6月25日赤城-全員来年のシンポ検討会①10
7月2日相崎日本と諸外国の少子化対策8
7月9日溝渕ヒッグス粒子を理解する その29
7月16日鴨志田医工学の話題 3件10
7月23日赤城-全員来年のシンポ検討会②10
7月30日岡室東アジアの高齢化と日本 中国の高齢化①10
8月20日禿日本人が発明したパルスオキシメーター12
8月27日赤城-全員来年のシンポ検討会③12
9月3日三井骨は語る10
9月10日全員ヤング武田賞検討会(13-16.30)8
9月17日全員ヤング武田賞検討会(13-16.30)9
9月24日全員ヤング武田賞検討会(13-16.30)10
10月1日鈴木美慧(お茶大修士)遺伝子カウンセリング12
10月8日赤城ITの次に見える世界9
10月15日赤城-全員来年のシンポ検討会④9
10月22日松原謙一(常任理事)未病社会12
10月29日五味憲一(インターテック ムーディ ジャパン)ISO認証制度について11
11月5日西村吉雄(理事)日本の電子産業はなぜ衰退したのか13
11月12日大戸ASEAN諸国 19
11月19日相崎半導体露光技術の最近の動向10
11月26日溝渕有機太陽電池(新材料)10
12月3日赤城-全員来年のシンポ検討会⑤11
12月10日鴨志田医用電気機器最前線の事例紹介-光、超音波、放射線-11
12月17日岡室中国の財団法人、NPOについて8
12月24日禿猿田彦尊の人物像を探る11
2014年
1月14日
三井生活世界の数学10
1月21日赤城スマホの次にくるもの9
1月28日鈴木美慧成人の遺伝学習の場としてのサイエンスカフェの内容分析11
2月4日大戸メガトレンド10
2月18日溝渕会社の寿命11
2月25日相崎フォトブック作成サービスあれこれ9
3月4日丸尾眞(前科学技術協力大使、元キルギス大使)中央アジアの社会と経済(会場:山上会館 001室)40
3月11日吉川俊之(VDEC・D2)青年の主張 ”「いまどき」の学生からみた半導体分野とは”9
3月18日赤城-全員シンポ反省会9
3月25日鴨志田グラフェンとバイオセンサへの応用12